73…Ki ページ28
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結局、俺はなにもできないまま今日という日を迎えた。
「それじゃ。みんな、元気でね〜。」
「俺がいなくても、ちゃんと飯食えよ。」
「んふふっ。ありがとう、横尾さん。」
「裕太くん、またね……。」
「うん、またね。これからの廉の活躍に期待しててね!」
俺の隣にいるAが、目を潤ませているのがわかる。
「………またな、たまちゃん。」
たまは俺の言葉を聞くと、頑張れおミツ〜だなんて言いながら手を振って、ここシェアハウスを去って行った。
「行っちゃったか。なんか寂しいよな。」
「だなー。けど明日には新しい人も来るらしいし、すぐにまた賑やかになるんじゃない?」
無言のままAはリビングに戻るとずっとマロのことを撫でたり抱きしめたりしていて、たまが出て行って寂しいのがひしひしと伝わってくる。
こんなたまを想ってるAに、自分の気持ちを伝えるなんて出来っこないって、この時は思っていた。
◇
「初めまして、藤ヶ谷 太輔です。」
「おおー。たまの言ってた通りのイケメンやん。」
目の前に現れたのは、たまのモデル仲間の先輩だという男で、たまとは違うイケメンで、セクシーな雰囲気を纏っている。
見た瞬間、先週たまから言われたことが瞬時に甦った。
こいつは危険な男だ。
「Aです。よろしくお願いします。」
「よろしくAちゃん。俺のことは太ちゃんって呼んでくれていいよ。」
「はいっ。太ちゃんって雑誌で見るより更にイケメンですね!」
「ははっ、ありがとう。Aちゃんこそ可愛くて、モデルさんみたいだね。」
……っておいおい、なんだかふたりして既に出来上がってる雰囲気じゃねえかよ。
どんな男連れてきてくれてんだよ、たまちゃんよぉ。
「………おい、A。」
「なに?」
「雑用係の出番だ。俺の部屋、集合。」
「えー、今から〜?」
嫌がるAの腕を引っ張って、強引に俺の部屋へと連れて行く。
大人げないけど、今はそんなこと言ってらんねえくらいの緊急事態だ。
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作者名:にかみつば | 作成日時:2021年6月23日 17時