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「おはよう。」
「………おう、おはよ。」
リビングに入ってきた私の顔を見たミツは、一瞬ぎょっとした顔をした。
起きてすぐに鏡を見たから自分の顔が、どんだけ酷い顔をしているのかはわかってる。
無言のままお味噌汁を温めていると、珍しくキッチンにミツが入って来た。
「ほら。」
「え。」
「今日は俺がしてやるよ。」
ミツの手には氷嚢が握られていて、夜中にミツの元カノが来た日のことを思い出す。
「そこに座んな。」
冷蔵庫の脇から折り畳みの丸椅子を出してくれて、そこに座ると私の赤く腫れた瞼を冷やしてくれて……。
余計に涙が出てきた。
だって……
昨日の私の声、隣のミツまで聞こえてたんでしょう?
普通なら、シェアハウスで他に人がいる時にそんなことするな、って文句言ってもいいくらいなのに。
それなのに、そんな風に優しくされたら胸が苦しいよ。
ミツらしく嫌味のひとつでも言ってくれたらいいのに。
「ミツぅ……ごめんね……。」
「なんでAが謝ってんだよ。謝る必要なんかねえわ。」
「ん、ごめっ……。」
もう片方の手で私の頭を撫でてくれるミツの優しさに泣けてしまう。
昨日家を出て行った裕太くんが戻ってきた気配はなくて、どうしてあんなことになったのかわからないけれど。
裕太くんにミツへの気持ちがバレていて。
きっと全部、私のせい。
裕太くんに会ったら話を聞いて、ちゃんと謝ろうと思っていたのに・・・。
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作者名:にかみつば | 作成日時:2021年6月23日 17時