検索窓
今日:5 hit、昨日:16 hit、合計:31,077 hit

. ページ7

いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
電気をつけていなかったせいで、自室は真っ暗だ。

ぼーっとする意識の中、時計を見ると19時を過ぎたところだった。




そういえば、19時ぐらいに花火があがるって言ってたな。

本当なら、俺は今頃貴方と一緒に…





いつもの公園で、まだ待っててくれてるのかな。

俺が来ないのを分かって、家に帰ったのかな。





それとも、他の人と今頃一緒に居るのかな。





花火大会に行こうと、約束した時の貴方の顔を思い出すのと同時に、母さんに言われた言葉を思い出した。






「五条家の次期当主として、最強の呪術師になる事以上に大切な物は無いの。その使命を脅かす物は何であっても排除するわ。この意味…分かるわね?」






正直、貴方と一緒に居れるなら、五条家とか御三家とか、次期当主とかどうでも良かった。


けど、母さんはそれに気づいてた。






出来る事なら、謝りたい。

約束、守れなくてごめんって。





「…なんだ、これ。」





左胸に手を添えて、今まで感じたことの無い、心臓の痛みに戸惑った。





貴方に会えないって思うと、心にぽっかり穴が空いたみたいな感覚になる。





喪失感とか、虚無感みたいな。





今まで、家の奴等が呪霊に襲われて命を落としても、
こんな気持ちになる事なんて無かったのに。





外から、花火が打ち上がる音がした。

窓を開けると、夏の夜空に色とりどりに咲く花が視界いっぱいに広がった。





俺の世界はずっとこの屋敷の中だけだった。

周りには、大人ばかりで。
寄ってくる大人達は、「俺」が無下限術式と六眼の2つを持っていて、希少価値ってだけだから。

「俺」自身を見てくれる人なんて居なかった。




けど、貴方だけはそうじゃなくて。
本当の意味で、五条悟という人間に接してくれた。





外に出て、友達を作って、友達と遊ぶとか。
そんな経験初めてで。

ずっと、孤独で生きてきて、白黒だった世界に色を着けてくれた。





「…あ。」





冷たい感覚が、頬を伝った。
それに気づいた瞬間、次から次へと涙が垂れてくる。




この胸が痛い理由がわかった。





…俺、悲しいんだ。





もう、貴方に会えない事が。





一緒に居れない事が。

















生まれて初めて見た花火は、
綺麗に咲く度に、俺の胸を締めつけていった。

□→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (87 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
726人がお気に入り
設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦 , さしす組
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハク | 作成日時:2023年9月15日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。