. ページ17
悟は素っ気ない返事をした。
日向と目を合わせようとせず、そっぽを向く。
『ちょっと悟…』
「…んだよ。」
私と一瞬だけ目が合うけど、すぐ逸らされた。
すると、日向が何かを思い出した様に口を開いた。
「確か貴方の幼馴染で初…」
『わーーーーーっっ!!!!!』
5人は私の大声に驚いた顔をする。
『日向ー??そろそろ行こっかー。』
「え、でもまだクレープ…」
『うん。気が変わった。』
日向の腕を掴んで、その場から去ろうとすると
彩も慌ててついてくる。
悟達の姿が見えなくなった辺りで、足を止めた。
『日向!余計な事言わないで!』
「え、駄目だった?」
駄目も何も…
『…悟は私の事覚えてないから。』
「え…」
「日向デリカシーってもんがほんとにないよね。」
「うっ…さーせん…」
中学で悟は周りから一目置かれていた。
誰が見ても整った容姿。
悟の事を好きだった女の子は沢山居ただろう。
でも、どれだけ沢山の人に声をかけられても、
悟は一切人を寄せ付けなくて。
…ずっと、1人で居た。
校内で悟は有名人だったから、知らない人は殆ど居なかった。
日向も彩もその中の1人だ。
「五条君が誰かと居るの初めて見たね。」
「確かに。中学の時はこう…もっとツンツンしてたっつーか…」
2人が悟の話をしてるのを聞きながら、歩いていると、とある雑貨屋さんが目に止まる。
お店の前には、動物のキーホルダーが並べられていた。
犬や猫、ウサギなど色々な動物のキーホルダーが並べられている中で、1つのキーホルダーを見て、自然と手に取っていた。
『これ…』
手に取ったキーホルダーをレジに持っていき、お会計をした。
翌日
実家から帰ってくると、悟が非番だという事を聞いた。
悟の部屋の前に着いた私はコンコンとノックをする。
少し間が開いて、ゆっくり扉が開いた。
『…なんでそんな仏頂面なの。』
「んなことねーよ。」
もしかして、連絡返さなかった事をまだ根にもっているのか。
『まぁいいや。はい、これ。』
小包みを出すと、悟は少し目を丸くした。
「なにこれ。」
『お土産。』
悟は受け取ると、黙ってその小包みを見つめる。
『…いらないなら、貰うけど。』
「誰もいらないなんて言ってねえだろ。」
726人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハク | 作成日時:2023年9月15日 3時