9 JN ページ9
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その人を見た瞬間、ジョングクの綻んでた顔が一瞬にして固まってしまった。
……おまえ、ヨジャが苦手だからって。
スタッフは緊張しないって話だっただろ。
JK「え、あ、何で……」
「…仕事なので。」
JK「あぁそっか……」
JN「いや当たり前だろ」
なんか変なこと口走ってるし。
急にペットボトルを握りしめて口籠るジョングクに俺はただただ不信感しかない。どうした急に。
JK「あの…さっきは有難うございました」
「……あぁいえ。スタッフが偉そうにすみません」
JK「や、全然…」
元々人見知りなジョングクはテヒョンみたいに誰とでも直ぐに話せるわけじゃないからか、そこで会話は終わった。
まぁジョングクの様子からして、多分エレベーターで閉じこめられたスタッフってこの人だろうな。
俺たちの目的の階に止まった所でジョングクと一緒にエレベーターから足を踏み出す。
そんな俺たちに律儀に頭を下げる、その人。
JN「(あ、ジョングクが世話になったお礼一言言えば良かったかもな)」
そんな事をぼんやり考える俺の横で
ピタッと立ち止まるジョングクが後ろを振り向く。
JK「あのっ……名前だけでも教えてもらえませんか」
「え？」
JN「なに聞いてるんだよお前は！！」
「あ。オ、Aです」
それだけ言い残して頭を下げた彼女を、エレベーターの扉が閉まるまで見つめていたジョングク。
俺は全身冷や汗が止まらないんだけど。
JN「ジョングク……？あの人スタッフだろ…」
JK「わかってます。」
JN「いや分かってて今の行動したのが驚きだよ」
JK「スタッフだったらそういう対象じゃないし、口説いてるとかじゃないです」
JN「じゃあ何だよ」
JK「…好奇心？」
小首を傾げて口角を上げて笑う様は、それだけで絵になる。顔の綺麗なこいつは何しても様になるのは否めない。
JN「……テヒョンみたいなこと言うなよ」
JK「俺はあんなにしつこくないです」
JN「そこじゃなくてさ」
反応する所が違うんだよ。何かもう、注意するとか以前に拍子抜けして脱力する。
JN「あの人に名前を聞いたのは好奇心ってこと？」
JK「それもあるけど、半分は何となく。」
JN「お前……」
どうして肝心なところは危機感が欠如してるんだよ。
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作成日時：2024年3月7日 21時
