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TH「ジョングクとエレベーターに閉じ込められてた人でしょ」
突然、腕を掴まれて振り向くと綺麗な顔をした男性がそう言って悪戯っぽく笑った。
……え?何急に。この人誰なんだろう。どこかで見たことあるのに直ぐに出てこない。
ただ間違いないのは、私みたいな一介のスタッフが簡単に関わって良い人じゃない。
「エレベーター…」
その言葉にふと思い出す。エレベーターに閉じ込められた時に一緒にいた人のことを言ってる?ジョングクって。
ああ、もしかして、この人。
「……BTSの、Vさん」
TH「あ、俺のこと知ってた!」
「ジョングク、さんが言ってたので」
TH「そうなんだ。悪口?」
「いえ褒めてましたよ。」
確かにこの人懐っこさは凄い。にこっと笑われてしまうと私からは何も言えなくなってしまう。
JM「おいテヒョンア!その人困ってる!」
TH「ほんと?」
「困ってるというか………」
TH「じゃあせめて最後に名前教えて?あいつ教えてくれないからさ」
糸目の人の制止を振り切って笑顔を向けるその人は、どこか強引なのに嫌な気分にさせない。
だからつい、私の頬も緩んでるんだと思う。
「私の名前を知っても意味ないと思いますよ」
TH「そんな事ない。ただ、俺が知りたいだけ」
だから意味あるでしょ?と純粋な目を向けてられて、そうなのかな。なんて思ってしまう。
どうして私の名前なんて知りたがるのか。そこに深い意味はないんだろうけど不思議だ。
だってスタッフなんて沢山いるのだから。
「オ・Aです」
TH「Aヌナ!…え、ヌナだよね?」
「Vさんは95lineですよね。ヌナですね」
TH「じゃヌナって呼ぼう。ジミンは?」
JM「えっ俺?あー………いいんですかね」
「構いませんよ」
再び会うかどうかも分からないけど。
それでも糸目のジミンさんは少しはにかんで「次にお会いしたらそう呼びます」と端的に言った。
会ったとしてもこうして気軽に話すことは殆どあり得ないってお互いに気づいてはいる。
だけどそれを悟らせない笑顔で彼らは微笑んだ。
TH「俺の用はこれだけだから、またね、Aヌナ?」
JM「あ。うちのマンネがお世話になりました」
「え?あぁいえ、とんでもないです」
私、何かしたっけ。
特別心当たりは無いんだけど。
TH「あいつに興味持たれたらちょっと大変かもね。」
Vさんが目を三日月型に細めて、そう言った。
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作成日時:2024年3月7日 21時