#12 (60) ページ18
マイキー君が一虎君を殺してしまった事で東卍は負けた。
だけど、稀咲が身代わりを用意した事でマイキー君が捕まることはなかった。東卍は芭流覇羅に乗っ取られ総長・マイキー君、総長代理・稀咲鉄太の巨大組織に膨れ上がった。
ドラケン 「今思えば、稀咲が東卍に入ったのははじめからマイキーが目当てだったんだろうな。」
俺はドラケン君の話が信じられなかった。
…信じたくなかった。
あのマイキー君が人を殺すなんて。
そのまま思った事を口にすれば、ドラケン君が更に信じられない事を口にする。
一虎君は兄貴を殺した仇だと。
そして、あの日場地君を目の前で殺されたのだと。
花垣 「……え、一虎君が…場地君を…？」
ドラケン 「お前も見てたろ？たけみっち。」
知らない。そんな事覚えていない。
だけど、なんだ。
ドラケン君に言われた瞬間、頭の中に知らないはずの映像が流れてくる。
花垣 「…」
俺が黙ったままでいるとドラケン君がポツリと呟いた。
ドラケン 「あいつが生きてりゃまた違った未来もあったかもしんねぇのにな。」
……あいつ？
生きてりゃって事は、その日死んじゃった人って事？
花垣 「場地君？ですか？」
ドラケン 「……いや、場地もそうだが、」
花垣 「…？一虎君？」
ドラケン 「いや、あの日場地と、一虎と、死んだもうひとり。」
花垣「え？」
もうひとり？
その日に死ぬのは一虎君と場地君だけじゃないのか？
不思議そうにしている俺にドラケン君は言う。
その言葉に俺は今日いちばんの衝撃を受ける事になる。
ドラケン 「あの日死んだのは、場地と一虎と、Aだ」
花垣 「……え！？」
A……？
花垣 「Aが…死ぬ？なんで？」
芭流覇羅からマイキー君をまもって？
それとも楓菜も一虎君が？
俺はドラケン君の言葉を待った。
ドラケン 「…」
花垣 「…」
その時を思い出しているのか
ドラケン君は下を向いて少し黙り込んでから口を開いた。
ドラケン 「Aは、マイキーを庇って、一虎に殺されたんだ」
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作者名：霞蓮 | 作成日時：2022年12月15日 18時
