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その日の夜＿＿＿＿＿＿＿
オンボロ寮を追い出されたユウとグリムは、居候先のサバナクロー寮へジャックと共に帰ってきた。
帰ってくるやレオナとラギーに今日のことを話すと、狐にでもつままれたかのような顔を浮かべ溜息をつかれた。
「え？君らマジで珊瑚の海に行ったんスか？」
「は、バカすぎんだろ」
「ふな”っ！？オメーがさっさと行動起こせっつったんだゾ！」
「フン。誰も馬鹿正直に海に行け、なんて言ってねぇよ。
時間は有限。頭を使って価値のある使い方をしろって言ってやったんだ。
水中で人魚と真っ向勝負なんざ、どう足掻いても勝ち目がねぇ。わざわざ食われにいくようなもんだ」
屁理屈にも近しい正論を言われ、怒りやら情けなさがもつれいがみ合ってのたうち回っているようだ。
「……あの、もしかしてレオナ先輩たちはあの兄妹が人魚だって知ってたんスか？」
ジャックの問いかけにあっけらかんとした態度で「まぁな」と言うレオナ。
「兄が人魚なら、その妹も人魚だろ」
「オレは去年の夏、水泳の合同授業でフロイドくんが元の姿になってるところを見たことがあるけど……
あれに水中で追いかけられたら、一巻の終わり感あるっスね」
「だったら先に教えておいてくださいよ！」
「事前の情報収集なしに勝手に飛び込んでいったのはお前らだろ？
聞かれりゃ、懇切丁寧に教えてやってたさ」
「そうそう。行動を起こす前はもっと用心深くならなきゃ。シシシッ！
向こう見ずなヤツは、サバンナじゃすぐに飢えちまうっスよ」
ああ言えばこう言うレオナとラギーに、グリムたちはぐうの音も出なかった。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年8月24日 2時
