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「君たちは僕と勝負をして、負けた。
契約に基づき、これから卒業までの間、僕の下僕として身を粉にして働いてもらいます」
異論は認めないというような目をするアズールに、ほとんどの生徒たちが息を呑む。
しかしそんな空気の中、刃で物を断ち切るようにエースが切り出す。
「ちょっと待った。こんなん詐欺だろ！」
「あら、あの子確か……」
『誰だっけぇ？』
アビスとアゼルは故意なのか本音なのか、忘れたような口ぶりでエースを無関心な目で見ている。
「たしか君は、１年生のエース・トラッポラさんでしたね。詐欺だなんて人聞きが悪い。
僕は契約通り君に完璧なテスト対策ノートを渡したはずですよ。
しっかりこなせば、９０点以上は取れたはずだ」
「ああ。確かに取れたぜ、９２点！」
「それは良かった！お役に立てたようでなによりです」
「でも、対策ノートを渡した相手がこんなに居るなんて話は聞いてねーよ！
ここだけの秘密みてーに話してたけどよ、そこの二人も共謀してんだろ！」
エースはアビスとアゼルの方を指刺し訴える。
だが、アビスとアゼルはエースを見ては焦る様子もなくただ笑っている。
「やだ〜、いつ私たちが「ここだけの秘密」だなんて言ったの？」
『特別扱いされたと思って勝手に舞い上がってたのはそっちじゃん？
……バッカみた〜い』
エース達はここに来てようやくアビスとアゼルの本性を知ってしまい、怒りと絶望で形容し難い表情になっている。
これほどまでに「悪女」という肩書きが似合う女に会ったことがあるだろうか、と、この場の誰もが恐怖にも近い感情を抱いた。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年7月22日 15時
