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『「なにそれ聞いてない！！」』
その場で騒ぎ立てる二人を見ながら耳を塞いで鼓膜を守るアズール。
眉間にシワを寄せ、両手を耳に押さえつけている様子を見る限り、余程姦しいのだろう。
だがアズールは二人の機嫌を損ねまいと言葉にすることは決してせず、静まるのを待った。
静かになるのをただただ待っていると、ラウンジにいたジェイドとフロイドが何事かとVIPルームに現われた。
「おやおや、一体なんの騒ぎです？」
「チビちゃんたちの声、ラウンジまで聞こえたんだけど」
兄たちの目線の先には、物言いたげな顔をした妹たちの姿が。
アビスとアゼルは兄たちに近づくと、同時に同じことを言った。
『「女が入学したって本当！？」』
ジェイドとフロイドは二回ほど瞬きをした後、何を言っているのかようやく理解し「あ〜」と考え込む。
「えぇ、その通りですよ。
魔力を持たない方だそうで、入学式に乱入した魔獣と共に通っているそうです」
「見た感じふつ〜すぎてつまんね〜ってカンジだけど。
……なに？お前ら、他に女がいるって焦って騒いでたわけぇ？」
フロイドが小馬鹿にしたような呆れたような口調でそう言うと、アビスとアゼルは口を揃えて「違う！」と抗議する。
『だって、同じ学生ならアズールさんと一緒に授業受けたりできるじゃんか！』
「男子校だからって折角諦めてたのにその女ァ……！」
『「ズルい！！」』
二人がそんなことで騒いでいる間も、アズールはいつの間にか耳栓をしながら仕事を続けていた。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年7月22日 15時
