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一同はこれから、ホテルに行き一休みがてら昼食をとるために移動をはじめた。
その時、まだあんずとAが起きていないことに気付く。
「皆さま、少々お静かに。女性の方々が眠ってしまっているようですので……
起こさぬように、あんずさんはわたくしが背負って運びましょう」
「なら、Aは僕が運ぶよ」
すかさず英智がAを運ぼうとするが、当然零がそれを黙って見ているはずもない。
「おぬしはまだ眠気が覚めておらんじゃろう。
ふらついて我輩の大切な幼馴染みを海にでも落っことされでもすれば敵わん。
我輩が運ぼう」
「そういう朔間くんこそ、暑さと眠気で顔色がすごいことになってるよ？
ここは大人しく、僕が運ぶから君は休みながらゆっくり歩いてくるといいよ」
２人の間に流れる険悪な空気を察知しているのか、Aの寝顔は強ばっていく。
その間に、レオンを同時に抱えていた乙狩がAを背中に負ぶさった。
「２人とも顔色が良くなさそうだ。
衣更先生は俺が運ぼう」
「なっ！？アドニスくん！？」
「心配ない。俺は暑さには強いし体調も万全だ。それに、この人は随分と華奢だからな。
先輩の大事な人を、落としたりなどは決してしないと約束するので、任せてくれないか？」
純粋な眼差しでそう言われれば、英智と零は毒気が抜かれたような表情を浮かべる。
「仕方ない。ここはアドニスくんに任せるとしようかのう」
「そうだね。それじゃあ彼女を頼んだよ」
「うむ。任された」
そう言って乙狩はAを抱えてホテルへと歩き出した。
「……にしても、Aがここまで起きないなんて。
機内で眠れなかったのかな？」
「あやつ、あんずの嬢ちゃんと一緒になって何か作業しておったぞ」
「あぁ、そういうこと……。全く、この旅行で一番休ませないといけないのは、彼女たちのようだね」
「それには、同感じゃな」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年1月6日 13時
