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『はぁ〜あ、結局『fine』が勝っちゃったなぁ〜……』
「仕方あるまい。この結果に関しては、斎宮くんも織り込み済みじゃったと思うぞ？」
『fine』と『Valkyrie』の戦いは、大量のファン層を抱えていた『fine』が勝利した。
どれほど芸術的で優れたパフォーマンスをしたとしても、それは抗えない現実だった。
『それはそうだろうけど……なんか緊張感が抜けてお腹空いて来ちゃったなぁ』
「なら屋台で何か買ってきてやろうぞ。焼きそばで良かったかのう？」
『え、私が買うよ。この間のお祭りでも買って貰ったし……』
「よいよい、トマトジュースを買いにいくついでじゃ」
零はそう言うとAを置いて屋台のあるグラウンドの方へ歩いて行った。
『屋台にトマトジュースは売ってないんじゃ……』
そんなことを呟きながら零のことを待っていると、Aのスマホが鳴り響き始めた。
連絡先は登録しておらず、恐る恐る通話ボタンを押した。
『はい、衣更ですけど……』
「こんばんは〜Aさん！私が誰だかわかりますか〜？
そうです！貴方の日々樹渉ですっ☆」
電話越しに元気な声が聞こえ、Aは思わず苦笑いを浮かべた。
『えっと…何か用かな？というか、私の番号知ってたんだ』
「私にかかれば連絡先を知る事などお茶の子さいさいですので……♪
おぉっとそんなことよりも、今から少し屋上に来られませんか？
貴方に頼みたいことがありまして！」
『え？今？でも今は……』
「それでは、お待ちしていますね……☆」
日々樹は話も聞かずに電話を切ってしまう。
『どうしよう……まだ零ちゃんも戻ってこないよね。
急ぎの用事だと大変だし、行ってみよう』
そう呟き、Aは早歩きで屋上へと向かった。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年10月2日 23時
