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『それじゃあ私達もお祭り寄って帰ろうよ。
私いちご飴食べたいな〜』
Aはそう言いながら零の腕を掴んで行こうとする。
「そうじゃな。では我輩たちは失礼させてもらうぞ」
「あ、はい。うちの姉をよろしくお願いします」
「おや、随分あっさりじゃのう?」
含みのある言い方をする零に首を傾げる真緒。
「おぬしの愛する姉君が、危険な魔物に食い漁られでもしたらどうするんじゃ?」
零のその言葉にようやく察しがつく真緒。
少し困ったように後頭部に手を置き、眉を八の字にしてはにかんだ。
「いや、俺が心配するまでもなく、そうなればうちの姉なら自分でどうにかすると思いますけど……」
「うむ。一理、いや、百理ある」
脳裏に、Aが軟派男たちを一掃する場面がふとよぎる。
「あはは……でも、やっぱり朔間先輩は姉貴が家族以外で1番信頼してる人だと思いますし、そこは安心してるんで」
「くくく……安心せい。我輩が生涯かけて幸せにすると誓おう」
「あれ?いつの間にか結婚前の挨拶みたいになってる……?」
「あの〜、御二方……」
仙石が申し訳なさそうに話に割って入る。
「衣更先生殿が、お祭りの会場に一足先に行ってしまわれたでござるが……」
「なんじゃと!?」
零はそう言われると颯爽とAを追いかけていってしまった。
「思ったよりも賑やかな御仁だったでござるな……」
「あの人は姉貴が関わるとああなるだけだから気にすんな」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時