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天祥院の体調が回復するまで、話し相手として付き添っていたA。
時間も忘れ、気付けば下校時間はとっくに過ぎていた。
「本当にすまないね。先輩に、ましてや女性にこんな時間まで付き合わせてしまうなんて」
『気にしないで。私がそうした方がいいって勝手に判断しただけだし、あの状態の天祥院くんを一人にする方が気が引けちゃうもの』
「君は厄介事も進んで引き受けちゃうタイプなのかな」
『そんなつもりはないんだけどな〜。
ただのお人好し。それは自分でもわかってるから』
自虐的に笑いながらそう言うAの横顔を、天祥院はジッと見つめる。
「……それが、Aさんの美点でもあるんだろうなぁ。
そんな素敵な女性とこうして知り合えたことは、僕の人生の中でも貴重な経験になる」
『そ、そんな大げさな……』
面と向かってそんなことを言われれば、いくら鈍感な女でも勘違いをして頬を赤らめるだろう。
現にAも、気恥ずかしさで頬が紅潮している。
「大げさなんかじゃないさ。僕はこの通り、いつ命の灯火が消えるかもわからない身体だ。
だからこそ、１秒たりとも無駄にはできない。
そんな貴重な時間をどうでもいい人間と関わってる暇なんてないんだ。
……僕の言いたいこと、伝わるかな？」
『え？』
立ち止ってAを見つめる綺麗な空色の瞳に、Aは釘付けになる。
天祥院の言葉の意味を理解しようと必死に頭の中で組み替えたりしてみるが、考えれば考えるほど脳が混乱してくる。
それを察したのか、天祥院はクスッと笑みを浮かべ、Aの横髪にそっと手を添えた。
「貴方のことをもっと知りたくなってしまったよ。
これが、一目惚れというものなのかな？
＿＿＿＿＿＿＿僕の、恋人になってほしい」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月1日 21時
