干からびてしまう前に【ヒロアカ】 (ページ7)

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試験が始まってから数分、中盤に差し掛かる。

仮想敵にやられ怪我をし始める受験生も出始めた頃、試験場にけたたましいサイレンと、地響きが鳴る。

何事かと全員が音のする方を見ると、ビル一つ分ほど大きな仮想敵が現れた。

「な、なんだ？」

「おいあれ……０Ｐだ！！」

「デカすぎんだろ！？」

あまりのデカさに、次々と逃げていく受験生たち。

先ほどの歌声も、０Ｐ敵によってかき消され、受験生達は我に返る。

「やべぇって！？いくらなんでもデカすぎんだろ！？」

上鳴も他の受験者たちと一緒になって０Ｐ敵から逃げていく。

そんな時、物陰にふと目線を移すと、その場で蹲っているAを見つけた。

「水姫っ！」

『……上鳴くん？』

上鳴は逃げることよりもAの元へ駆け寄っていく。

「怪我でもした感じ？歩けるっ？」

『え？今はちょっと無理かな……。

いいよ、先に逃げなよ。僕はそれなりにポイントも稼いだし、もう充分だから』

「っ……言ってる場合じゃないんだって！」

上鳴はそう言うと、Aを抱き上げ一緒に逃げだした。

『なに、してるの？』

「あのまま放っておけるわけないじゃん！？」

『でもこのままじゃ、共倒れに……』

後ろを振り返ると、０Pが大きな腕のようなものを振り上げて攻撃を仕掛けようとしていた。

「まずい」と感じたその時、上鳴はAをそっと下ろすと、徐ろに０Ｐ敵の方へと走り出した。