干からびてしまう前に【ヒロアカ】 (ページ17)

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体力測定もようやく最後の種目である持久走のみとなる。

それぞれウォーミングアップなどをしてスタートの合図を待っていた。

「これで終わりか～」

『みたいだね』

「あ、水姫の”個性”、見せてくれるんだっけ？」

上鳴は思い出したかのようにAにそう言う。

『うん、いいよ。

僕の”個性”、見ててね』

そう言うと、Aの周囲に先ほどよりも倍以上の水が集まり始める。

気付けば人が１人入れるほどの宙に浮かぶ水の球体ができていた。

「おぉ～……水を生み出す力ってこと？」

『ふふ、まだだよ。よく見ててね』

そう言うとAは体操着の上を脱ぎ捨て水の中に飛び込んだ。

すると、みるみるAの足が変容していくのがわかった。

白く細い足にはスパンコールのように輝く鱗がつき、足首から下はヒラヒラのレースのような魚の尾ビレになっていく。

それは、物語の中の空想上の生き物であるはずの生物である「人魚」そのものだった。

「うぇ……？人魚……？

お前……人魚姫だったの……？」

『ん？姫じゃないよ？これが僕の”個性”『人魚』。

どう？驚いた？』

水の中で優雅に泳ぐ姿は、まるで巨大なアクアリウムの中の観賞魚のよう。

他のクラスメイトたちも、これには言葉を失ってしまうほど見惚れていた。

「おい、始めるぞ。よーい、スタート」

『じゃあ、ゴールでね』

Aはそう言うと、見惚れている者達を置いて水に入ったまま空中を泳ぐようにして行ってしまった。

その速さ、とても並の足の速さでは追いつくことは不可能なものだった。