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割れたカップ。中身の紅茶はジワジワとカーペットに染みこんでいく。
「い、今何がっ……?」
「お前が今飲もうとしていた紅茶は、”呪いを他の者に移す薬”が混ぜられた紅茶だ。
通常、魔力を持つ者には効かぬ故、あまり実用的なものではないが…」
「万が一に備え、台所に薬の瓶を置いておいたのじゃ」
「え……じ、じゃあ……」
Aの方を恐る恐る見れば、Aは鋭い目でユウを睨み付けていた。
「っ……!」
光りのない血のような真っ赤な瞳で睨まれ、ユウは恐ろしくなってマレウスの後ろに隠れた。
脅えているユウを見て、マレウスとリリアはユウをなだめる。
「脅えることはない。こうして僕が助けてやっただろう」
「ツノ太郎……」
「妖精にとって人間はイタズラの標的になりやすい。
軽々しくモノを受け取ったりしてはならん。教訓じゃぞ」
「リリア先輩……はい。ありがとうございます」
そしてマレウスはAの方を向き直る。
ユウを背にしてAを見るその目は、ひどく冷たかった。
「A。お前のことを思い、ここでの生活を少しでも快適に過せるようにしてやったというのに……仇で返したな」
一歩、また一歩と近づいてくるマレウス。Aはマレウスをジッと睨み返しながら一歩ずつ下がる。
「……お前は、金輪際部屋から一歩も出さない。
羽根をもがれた憐れな妖精のように、鳥籠の中で過ごすといい」
『……!』
マレウスはそう言い、Aに背を向けようとした。
しかしその瞬間だった。Aは床に散らばっているティーカップの破片を踏みつけると、マレウスを押しのけ、少しの魔力を振り絞り瞬間移動でその場から消えてしまった。
「待てAっ!」
手を伸ばした時には遅く、Aは既にその場にはいなかった。
「まだあんな力が残っていたか。呪いの効果で徐々に魔力も弱まっていっているはずなんだが……」
「呪い?なんのことなのツノ太郎?」
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寝子/猫 - ズビッズビッ、、、ぜ、全然泣いてないけどズビッズビッ、どことなく共感してしまう過去の回想シーンズビッ こ、更新まってますズビッ (10月7日 0時) (レス) @page50 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - もう泣いてしまっていますよ、これは本当に良すぎます(´;ω;`) (7月21日 13時) (レス) @page41 id: 249aa4a194 (このIDを非表示/違反報告)
ララリン - 面白いです!続きが気になります! (7月15日 19時) (レス) id: 6fc5591da7 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 更新、ありがとうございます!!すごく楽しみにしていました!!面白かったです! (7月10日 23時) (レス) id: 481fd4ed05 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - めちゃ続きみたい!! (2023年3月20日 22時) (レス) @page48 id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年4月28日 13時