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十一話 ページ12

ヒュウと空を切る音が零の髪を掠る



万斉の初めの合図からすぐさま降り注いだ斬撃を、零は全て避けきっていた



零を少し莫迦にしていた様だった奴らも、何も云わずに試合を見ている




『…却説、始めようか』




零は小さく呟くと、自分へと振り下ろされつつある刃へと向かって走った



そして、完璧に振り下ろされる刹那





キィン



甲高い金属音を鳴らし、刀の動きが止まった



刀は零の持つ短刀に受け止められていた



そして、刀が止まった事で男が一瞬動揺を見せる



生まれた一瞬の隙



ダンッ



零は床に手を付き、男の手を蹴り上げた



隙を突かれた男の手から刀が滑り落ちる



その刀が床に落ちる前、その一瞬



零は跳躍し、無防備な男の腹に回し蹴りを喰らわせた




「がっ…!」




ドフッ、という鈍い打撃音と共に男の口から空気が吐き出される



倒れた男の顔スレスレに、サクリと軽い音を立て刀が突き刺さった






チャキ



男の目の前に、鋭利な刃が光った



『…未だ続ける?』



零の持つ刃と同じ位に鋭利な目線が男を貫く



「…いや、俺の負けだ」



男は頭を振って呆れたように笑った




シ……ン






ワァァァァ




一気に甲板に歓声が広がった




「あの子スゲェな!!」



「まさか大の男のしちまうとは!」



「オイ山本!お前何女の子に負けてんだよ!
お陰で賭けに負けたじゃねェか!」



「よっしゃ俺の一人勝ちィィ!!
お前らちゃんと金渡せよ!」



「ちぇ!
俺山本に賭けてたんだけどなァ!」






零と久作が騒ぐ奴らを呆れたように見ていた



『…賭けの材料にされてるね
しかもあの人以外山本さんに賭けてるし』



Q「お姉ちゃんが勝つなんて当たり前なのにね〜」



『…有難う』



零は久作の頭を軽く撫でた



久作はまんまるに見開いた目をぱちくりさせると、パアッと笑った



それにつられ、零も優しい笑顔を浮かべた

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(プロフ) - コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2019年8月1日 21時) (レス) id: 449bdc9a82 (このIDを非表示/違反報告)
案内人 - 久作と零可愛いですね。こういう話好きです!!これからも更新がんばってください! (2019年8月1日 20時) (レス) id: 18b5c09236 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月17日 17時

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