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天気予報で言われた通り
氷点下の気温の中、初雪がパラつく今日
メンバー全員が暖かい部屋に集まり
取材やら打ち合わせやらを行っている。


「…その最後の音、もうちょい高い方が俺は好き」

「んー、じゃあ…」

「あ、いい!お前天才だな!」


俺が褒めた曲は山田の好みに、そしてそれを求める圭人の手によって姿を変えていく


俺はそれを聞こえないふりをして
伊野ちゃんとどうでも良い話を繰り広げるんだ


ダイヤモンドは輝く前が一番だと偉い発掘者も言っていたじゃないか。

そう自分に言い聞かせながら


「…で、って大ちゃん!」

「…え、」

「何その顔〜!可愛いね〜」

「んな、どんな顔だよ!つむじを押すな!」

「ふふ、今すごい女の子みたいな顔してたよ?」

伊野ちゃんが俺の頭をわしゃわしゃと撫でて
俺の事を茶化すいつも通りの俺ら。


「はぁ?意味わかんね、って、え?、ちょ、」


ただ、ここでいつもより違うのは

圭人が俺の手首を掴んで歩き出したこと


山田も、伊野ちゃんもほかのメンバーだって
驚いた顔で俺らを見てる。


そりゃそうだ。
だって、圭人はいつだって忠犬みたいに
周りをよく見て動けるやつだから


多分ほかの誰より、俺が1番驚いてるんだけど

「ちょ、圭人、」

そう声をかけても振り向かない圭人なんてはじめてで、俺なんかやっちゃったのかな。とか
圭人とのやり取りを思い返してみるけど
心当たりは見当たらない

結局連れてこられたのは楽屋から離れた
誰もいない控え室

歩くと言うより途中から走っていたから
この部屋には二人の荒い呼吸だけ

ギュッと手首に力が込められて

「…いて、」

つい出た言葉

「はっ、あーごめん、俺…」

それに文字通りハッとしてる圭人

あ、よかったいつも通りの圭人だ




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.→←初雪 (ktar)



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ゆみ(プロフ) - はじめまして♪くじらさんだから描ける明るいだけじゃない、苦かったり酸っぱかったり、リアルなオレンジがとても共感出来て面白く拝読いたしました。次はどの色のお話なのかとても楽しみです(^^) (2019年1月16日 14時) (レス) id: b1371ccaed (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても素敵なお話ですね~!次のお話が楽しみです!更新頑張ってください! (2018年12月15日 23時) (レス) id: 31e5093717 (このIDを非表示/違反報告)
yuria(プロフ) - くじらさんの最新作凄く好きです!いつも作品楽しく拝見させて頂いてます!これからも続き気になるので更新頑張って下さい!応援してます! (2018年12月15日 22時) (レス) id: 30859cc1ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くじら | 作成日時:2018年12月15日 22時

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