アカツキの空 (ページ10)

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悪役にページ10

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『しろちゃん、ちょっと話があるんだけど』

水「来ると思ってたよ」

『何か考えがあるんでしょ？』

水「うん。海根さんから入れ替われる方法を聞き出そうと思うんだ」

『それで悪役に徹するって？』

水「あゆみちゃんが元に戻れるなら俺は悪役にだってなるよ」

『……そう。ならこのことは私としろちゃんだけの秘密ね』

水「あぁ」

『待って、あれって……あゆみ？』

思っていたよりもかなり本格的なお化け屋敷。これは私たちのクラスの出し物だ。あゆみが何故かその中に入っていこうとする所で、だってあの子は暗所恐怖症なのに。

『………しゅん、くん、』

私のか細い声なんて届くはずもなく、俊くんはあゆみを助けに行った。このままじゃ本当に取られるかも。そう思った。

『しろちゃんはもしあゆみが俊くんに取られたらどうする？』

水「大丈夫だよ、火賀はAちゃんのことしか見えてないし」

『分かんないよそんなの……っ、私は、俊くんがこの先も私を好きでいてくれるって自信はない……』

水「Aちゃん………」

『思うんだよ、俊くんにはあゆみの方がお似合いなのかもって』

水「俺も同じこと考えることあるよ」

『え？』

水「いくら成績トップでも、バスケ部のエースでも、人が集まるのは火賀の周りだ。あゆみちゃんだって火賀といる時楽しそうだし」

『………そっか、しろちゃんも同じこと考えてたんだね』

自信なんて、あるわけない。

いくら俊くんが私を好きだと言っても安心はできないんだ。だって人気者の彼には、私以外に代わりなんてたくさんいるから。一人になるのは私だけ。

水「Aちゃん、そんな顔しないで」

『……ごめん、お手洗い行ってくる』

水「Aちゃん！！」

ごめんね、あゆみ。今一番苦しいのはあゆみなのに。私じゃないのに。

本当に私は………醜い女。

火「おいA！！」

『！』

火「は、おい逃げんな！！待てって！！」

ダメ、今は俊くんに会いたくない

火「A！！」

『っ……はな、して、』

火「朝言うたばっかやろ、隠し事はナシって」

『別に隠し事なんかしてない』

火「してるやろが、じゃあなんで泣いてんねん」

『泣いてない！』

火「なに？公史郎になんか言われた？」

『……いいから、私のことは放ってあゆみの所行ってあげなよ』

火「嫌や。いつも言うてるやろ、お前以外に大切なもんなんかないって」

苦しい、これ以上私を苦しめないでよ。

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