どんな姿だって ページ8
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『あゆみ』
小「え……？」
『あゆみなんでしょ』
小「な、んで………」
『分かるよ、どんな姿でもあゆみはあゆみだもん』
そう言うと、泣きながら私に抱きついてきた。やっぱりそうだった。
『ごめんね、すぐに気付いてあげられなくて』
小「ううん……っ、」
あゆみからどうやって海根さんと入れ替わったのかを聞いたけれど、漫画みたいな話だと思った。だから初めは信じられなかったんだ。
火「Aも気付いてたんやな」
『うん、確信したのはさっきだけどね』
火「俺もやわ」
『あゆみ、大丈夫だよ。独りじゃないからね』
小「うん……！A、大好き！」
火「お前いつまでAにくっついてんねん」
小「いいじゃん別に！Aと話すのだって久しぶりなんだから！」
火「はいはいそうですねー」
小「分かった、嫉妬してるんでしょ。俺のAがとられたって！」
火「はぁ！？そんなんちゃうし！」
小「絶対そう！」
喧嘩しつつ、楽しそうな二人を見ていると、いつも劣等感に襲われる。もしかして私よりあゆみの方が俊くんにはお似合いなんじゃないかって。
私たちは好き同士で一緒にいるはずなのに、あゆみのことだって大好きなのに、こんなにも苦しい。
火「A？」
『え、あ、なに？』
火「どうしたん、ぼーっとして」
『ううん、なんでもない』
火「……そうか？」
小「火賀くんが文句ばっかり言うから呆れてるんだよ」
火「はぁ？んなわけないやろ、こいつ俺のこと大好きやねんから」
小「そういうの自分で言っちゃうんだ………」
気付かれないように静かにため息をついて、帰ろうと提案した。
『じゃあ、また明日ね』
火「ちょっと待って」
『………ん？なに？』
火「なぁ俺に隠し事せんといて、なんかあるんやったらちゃんと言って。」
『…………』
火「俺、お前のことほんまに好きやねん」
『うん』
火「声、震えてるやん。やっぱりなんかあるんやろ？」
『俊くん……私のこと、本当に好き？』
火「好きやって。なんで信じてくれへんの？」
『私は、俊くんがいないとダメなの。生きてる意味がない。………お願いだから一人にしないで、』
涙を堪えて、俊くんの首元に頭を預けた。
火「俺がお前を一人にするわけないやろ。こんなに好きやねんから。なんやったら今から証明したろか？」
『……うん、して』
あゆみ、俊くんを好きにならないで。
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作者名：百合姫 | 作成日時：2024年3月6日 13時
