キズナ10

＊ ページ39

龍我side






那「……ごめん…」








目を覚ました那須は

俺たちを見るなりそう言った








藤「何言ってんの。大丈夫だよ。」




大「とりあえずゆっくりしなって。」




那「でも…リハ…」




「元気になってからでいいって！動かなければ仕事してもいいって先生も言ってたし。」




那「……うん。」





「あ、まぁ無理はしなくていいけどね！仕事も！」





那「大丈夫…すぐ、治すか… 浮「ふざけんな。」






……えっ？









金「浮、所…？」









浮「こんななるまでなんで放っといたんだよ。分かってただろ？何でもっと早くっ…


藤「浮所、やめろって。那須だって…」



浮「本番まであとちょっとしかないんだぞ？そんなんで、間に合うわけないじゃん！」



大「ちょい、まじやめろってば。」



浮「だってそうじゃん！こんな状態で、ステージなんか上がれねーだろ！」



「浮所っ！そんな言い方ないじゃんか！」









そんな、心ない言い方

浮所らしくない







那須の気持ちも考えろよ









俯く那須を見てらんなくて

俺たちは感情的になる浮所をなんとか止めて

病院を後にした









那「本当に…ごめん…」








まだ全然青白い顔を、さらに曇らせて

聞いたこともないくらい力無い声で

那須は俺たちに謝り続けてた









藤「ねぇ、どしたの？らしくないよ？」







同じく俯いたままになった浮所を落ち着かせるために

立ち寄った近くのファミレス









別れ際、マネージャーから

那須はしばらくはリハには参加せず、見学で

それ以外の仕事は、体調を見て判断すると伝えられた









大「あんな言い方しなくてもさ…」



金「那須もしんどかったんだし…」









浮「……分かってるよ、んなこと。」



「浮所…？」









浮「1番辛いのも、悔しいのも、全部あいつだってことぐらい俺も分かってる。」





藤「じゃあなんで…」









浮「……許せなかった、」



「え？」







浮「…あんなになるまで、全然知らなかった自分が許せなかった。毎日一緒にいたのに…あいつが、そういうの上手く隠そうとすんのも知ってんのに。俺、自分のことでいっぱいで…」





大「…浮所、」




金「……、」







浮「もしかしたら…しんどいって、言おうとしてたかもしれねーのに…そのタイミング、俺が無くしてたのかもって思ったら…だからごめん。さっきのは、全部自分に言いたかったこと…」








そんなの…

俺だって…

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