キズナ10

＊ ページ18

紫耀side




でも、今出来ることは

無事を祈って待つことだけってことも分かってる








俺たちが取り乱したらだめだ





余計な手間を取らせて

大人たちが海人にかける時間を削ったらだめだ









大丈夫



海人ならきっと大丈夫









あいつは以外と強いから

生命力だけは、人一倍ありそうだし

こんなことで、いなくなったりしない









そうだろ？









-









-









それに




俺が今しっかりしなきゃって思う理由は








もう一つ









隣の細い膝の上で


あったかいストーブの目の前にいんのに


ずっと震えたままの手









海人の上着の握ったとこがしわくちゃになるほど

力の入ったその手に





そっと手を重ねると









廉「…はぁっ……っ…」









震えた息が零れた









「…大丈夫。あいつは大丈夫だから、絶対。」






廉「…っ……」









ここに帰ってくる道中も



自分は残って探すと言って聞かなかった廉









冷えた空気の中で

大声を出し続けたことと、急なストレスで

一気に体力を奪われたのか






若干フラついてた体を支え

なんとか歩いて降りてきた









廉「俺が1番近くにおったのに…」








廉「上着、ちゃんと返しとけば…」









廉「俺が寒いとか言ったから…」









口から出る言葉は

全部自分を責めるものばっかりで









海人にもしものことがあったらどうしようという不安で、押し潰されかけてる心









それはもちろん俺も同じだけど…









廉「…俺の…せい…っ…」







「違うって。誰のせいでもないから。」









どんどん悪くなる顔色を見ると

そっちまで心配になる









だから

せめて俺は、自分を保ってないと








マネージャーも、諸々の連絡に追われてるし

岸くんもジンもいない









「大丈夫だから。な？大丈夫大丈夫。」









俺たちがそう信じてやんないとだめだろ？









どんどん暗くなる空を

窓の向こうに感じながら









おかしくなりそうな心を

どうにか保って









廉の体をしっかりと抱き寄せて

震える背中をさすり続けた









-









-








バタバタバタッ…









マ「はぁっ…いた！海人いたって！」









「「……ぇっ…！？」」









その知らせが来たのは


もう、完全に日が落ちた頃だった＿＿

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