キズナ5

好きの伝え方(那須×浮所) ページ10

浮所side

俺たちにとって、応援してくれる人たちの存在は

何よりも大切で

大切で

なくてはならないもの

みんながいるから、頑張れる

もっとかっこよくなりたい

もっと歌が上手くなりたい、踊れるようになりたい

俺たちがアイドルでいられる

最高で最強の原動力だ


それは間違いない

今までも、これからも

絶対揺るがない



いつも感謝してます

応援してくれて、本当にありがとう

大好きだよって伝えてくれることが

何よりも嬉しくて

また明日も頑張ろうって思えるんだ




でもね…

でも…

"好き"の伝え方って、色々あって

行き過ぎた"好き"は

時に人を狂わせて

間違った所へ行ってしまうこともあるんだ




嬉しいんだ、その気持ちは

だけど、これだけは約束してほしい


俺たちも、応援してくれるみんなも

お互いが笑顔でいられる

そんなあったかい"好き"を

伝え合っていこう…？








ある日の仕事終わり

動画配信の撮影を終えて、なかなかいい時間になり

すっかり暗くなった空を見上げ

龍「星綺麗っ！」

と、子どもみたいにはしゃぐ龍我を筆頭に

俺たちは揃って事務所を出た



最寄りの駅まではみんな一緒で

そこからはそれぞれの家の方向の電車に乗る


もう日課のような動き

今日も、あっという間に駅に着いた


藤「じゃ、また明日ー。」

大「じゃーねー。」

金「お疲れー。」

藤井くんと大昇と金指は、そう軽く手を振ってそれぞれのホームへと去って行った


俺と龍我と那須は、乗り換えの駅までは同じ線に乗る

サラリーマンの帰宅ラッシュと重なり、わりと混んでる電車内

大した話をするわけでもなく

携帯をいじりつつ、たまにちょっと喋りつつ

ガタガタと揺られていた


3つ目の駅で龍我が降り

もう２つ先で俺が降りる


入所して数年

何百回と同じ道のりを帰ってる



今日もその予定だった



龍我が降りて2駅

俺が乗り換える駅は、わりと大きな駅だから

ここで降りる人は結構多い


那須はこの後座れるからいいなぁとか思いつつ

そろそろ着くから

「じゃ、お疲れ。」

そう一言言って出口へ向かおうとした



そのとき


那「あ…浮所っ…」

うん、お疲れ

といういつもとは違う言葉が返ってきた


「ん？」

踏み出した足を止めて振り返る

すると那須は、合ったと思った視線を下に逸らし

那「あ…いや…何でもない…ごめん…」

そう言った


「何？どうかした？」

何でもない…のは違うよな？

那「ううん、大したことじゃないから。またでいい。」

なんだよ笑

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