キズナ5

＊ ページ48

紫耀side


そんな気持ちで心が覆われていたある日

憂鬱な気持ちで仕事に向かうと

楽屋には海人がもう来ていて

海「おっはよー！」

元気いっぱいに挨拶をしてきた

「うん…」

俺はどうしてもそれを快く受け止められなくて

とりあえず返事だけを返す

海「ねぇ紫耀、今日ね？めっちゃ可愛い猫見たの！写真見て！」

そんな俺にお構いなしに携帯を見せてくる海人

初めは適当に返事をしてたけど

変わらずハイテンションで話しかけてくることに

だんだんイライラしてきて


お前はいいよな、センターじゃないし

俺たち3人で同じ仕事してんのに

なんで俺だけこんな辛い気持ちでやんないといけないの

どうせ廉も、この後来たら俺の前で海人とはしゃぐんだろ？


呑気なもんだよな…

だって…お前はもう、センターじゃないんだから…



なんて思いが湧いてきて


「うるさい、ちょっと黙って。」


思わず、そう口にしていた…

海「え…」

うわっ…やったわ…

「あ…ごめん。なんでもない…」

慌てて訂正するけど、そんなのもう遅くて

海「いや…俺もごめん…疲れてるよね…静かにしてるね。」

海人はしゅんとしてしまい

俺から離れて楽屋を出て行った



はぁぁ…

こんなんで、何がkingのためだよ…


俺がセンターの意味って何？


もしかして、廉がセンターやりたくなかったから

俺に押し付けられたのか…？


だからあのとき、廉はすんなりポジションチェンジに応じたのか…？


そりゃこんなしんどいなら、センターなんて誰もやりたくないよな…

きっと廉がジャニーさんに頼んで

センター交代になったんだ…



そんなことまで考えるくらい

もうこの時の俺の頭は

自分の気持ちをどうにか保つことで精一杯だった






それからどれくらい経っただろう

ボーッとソファーに座ってたら



バタバタと廊下を走る音が近づいてきて

そのままバタンっと楽屋の扉が開いた


何？と思い目線を向けると

海「はぁっ…はぁっ…紫耀っ！」

息を切らした海人が立っていた

「え…何？どうした、の？」

さっき俺が落ち込ませた相手とは思えない

焦ったような、でもいつもより真剣な顔で俺を呼ぶ海人

海「ちょっと来て！廉がっ！」

「は？」

廉？廉はまだ来てなくない？

海「いいから！早くっ！」

「廉がどうかしたの？」

正直今、廉にはあんまり気持ちよく会えそうにないんだけど…

とか思ってたら

海人が俺の手を取って、無理矢理立ち上がらせ

そのまま走り出した

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