キズナ5

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海人side

メンバー全員での取材中

紫耀がある質問をされた

それは、グループのセンターとしての心持ちみたいな、そんなよくある質問で

今日も紫耀は笑顔で応えてる


でも、紫耀がこんな風に

自分の立ち位置のことを自信持って話せるようになるまでには

あの頃の葛藤と、大切な戦友への思いがあった


俺はそれを近くで見てて

紫耀の大きくて頼もしい背中も

優しくて脆い心も

両方知った


"では、そんな平野さんをメンバーの皆さんはどう感じてらっしゃいますか？"


「そうですね、紫耀は…」

廉「紫耀は…俺たちにとって…」




この続きを聞く前に

俺たちの昔話をさせてください






紫耀と廉とグループを組んでから

俺の世界はガラリと変わった

テレビへの露出は増えたし、嬉しいことに俺にもファンの子がついてくれるようになった

kingの一員で居られることが、俺にとっては何よりの幸せで

紫耀のことも、廉のことも

本当に大好きだった



そんなある日

事務所から伝えられた、ポジションチェンジ

俺は変わんなかったけど

大きく変わったのは、残りの2人


それまでずっと、真ん中で頑張ってくれてた廉に代わって

紫耀がセンターに立つことになった


ポジションチェンジなんて、よくあることだ

なんてことは俺も知ってたけど

まさか自分たちが…と

内心戸惑った


それまでの立ち位置が染みついてたから

メンバーカラーも

センターの人がよく担当してる赤色は廉

サイドでシンメで立つ俺と紫耀は黄色と青色

と、配色されていた



それがその日を境に

基本的なポジションは紫耀がセンター

俺と廉がサイドに立つ形になった




初めは慣れなくて、変な感じがしてたけど

でも

時間が経つとそれもだんだん慣れてきて



3ヶ月もすれば、もうそのポジションで居ることに違和感は感じなくなっていた



だけど…

その違和感とは別に、この頃俺たちには…

いや、正確に言うと紫耀と廉には

今やファンの人たちにも氷河期とか言われてる

そんな日々が訪れていた



仲が悪いわけでも、お互いのことを嫌ってるわけでもないけど

あんなにワイワイしてた2人が

2人きりで会話をすることがほとんどなくなった


どっちがどっちを避けてるとかもなく

お互いがなんとなく距離を取ってる感じで

必要なこと以外でプライベートな会話をしたり

2人で何かをしたりする姿を見なくなった

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