キズナ5

＊ ページ31

海人side


事が動いたのは、あれから数週間がたったある日のグループ仕事の日のことだった


相変わらず俺たち4人と廉の間で私的な会話が交わされることはなく

ましてやここ数日は

廉の顔もまともに見てない


一緒に仕事をしてても

横に並んで立ってる事がほとんどだから

まじまじと顔は見ないし


楽屋では完全に距離を取って過ごしてるから

廉は俺たちに背中を向けてるし


数週間前、最後に廉の素の声を聞いたのは

あのときの

ごめんな、という言葉だった気がする



ネット上では未だに廉のニュースは話題になってるし

俺たちの新しい仕事がテレビで流れるたびに

色んな声が上がっていた



紫耀やジンは、そんな声を聞いては

廉がいようと関係なく、怒りを口にし

俺と岸くんも、それに相槌を返していた




今日は2日ぶりにグループ仕事

廉と距離を置くこと以外は、わりと以前のように何気ない話もするようになって

楽屋に笑い声が響くことも増えていた



前仕事を終え、楽屋に行くと

紫耀とジンと岸くんはもう来ていて

紫「おはよー。」

と俺に笑顔を向けてくれた


じばらく4人で話をしてたら


ガチャ

楽屋のドアが開き、入って来たのは


チーフマネージャーだった

マ「なぁお前ら、永瀬は？」

そう聞かれて

一瞬顔を見合わせる俺たち

神「あー…まだ来てないっすね。」

ジンが少し嫌悪感を滲ませた声で答える

マ「おかしいな…」

その答えに、首をかしげるマネージャー

岸「何がですか？」

マ「いや、永瀬迎えに行ったやつに聞いたら30分前ぐらいにはここで降ろしたって言ってて…」

「え？」

マ「次の仕事のことで伝えることあるこら、今日着いたら俺のとこ寄ってって言ってたのに来ないから連絡したら、もう降ろしましたけど？って。」

「いや…今日まだ見てないっすけど…」

マ「まじか…どこ行ったんだあいつ…」

わりと重要な用事だったのか、仕事開始の時間が迫ってきてるのもあって困り顔のマネージャー

紫「どんだけ迷惑かけんだよ、まじで。」

ボソッとそう呟く紫耀


マ「まぁごめんけど、永瀬来たら俺のとこ来てって伝えて。俺もうちょい探すから。」

でっかいテレビ局

一人で探すの…？

とかちょっと思ったけど

今の俺たちに、廉を心配するなんてことは到底出来なくて

マネージャーもなんとなく俺たちの雰囲気を察したのか、そう言ってすぐ出て行った




それからまたしばらく

俺たちは4人で楽屋トークをして過ごしていた


もう、狂ってたよな

本当に狂ってた


それに気付くまで

あと数分…

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