キズナ5

＊ ページ25

海人side

まさかの出来事に、頭が追いつかない

岸「廉…本当にこれお前なの…？」

もう一度、確かめるように岸くんが聞く


一気に俺たちの視線は廉に集中する


んなわけないやん、人違いやで？


そう答えてくれることを願って…


だけど…



廉「…俺や…な…」

廉の口からは、望んでない答えが返って来た…


なんで…

なんでだよ、廉…



岸「そっ…か…」

岸くんも、分かりやすく落ち込んだ声を出した


マ「とりあえず…今日の撮影が終わったら、永瀬は事務所で話があるから。分かってると思うけど、まだ出てない記事だから、撮影は全員いつも通りやれよ？」


そう言って、マネージャーはどこかに連絡をするのか、携帯を開きながら楽屋を出て行った


しんとする楽屋

かつてない沈んだ空気に

誰も声を出さない時間が続いた



それからしばらくして



ようやく声を出したのは


廉「…ごめん…」

廉だった

鞄も下ろさず、その場に立ったまま

俯いていた廉が、少しだけ顔を上げて

俺たちにそう言った



その廉に

何かの間違いだよね？

そう言おうと口を開いたときだった


紫「何が？」


俺より一瞬早く反応を返したのは

紫耀の冷たい声だった


廉「…え…？」

紫「何がごめんなの？」

廉「…それは…」

紫「この前話したじゃん、ありえないって。」

廉「…うん。」

紫「それ分かってて、何これ？」

廉「…だからごめん…俺の意識が足りひんくて…でもっ…紫「マジでありえねぇから。」


廉が何か言いかけたけど、それを待たずに紫耀の怒りがMAXに

廉も言葉を引っ込めた

紫「分かってるよな？俺ら今こんなことしてる暇はなんかないって。なのに何だよマジで。どういうつもりなわけ？意味わかんねーほんと。」

廉「…悪かったって…でも、これはっ紫「言い訳なんかしてんじゃねーよっ！」

またもや廉の言葉を遮り、紫耀が声を荒げる

紫「何したか分かってんの⁈お前のせいで、俺らも、玄樹も、マネージャーも、みんな巻き込まれてんの！」

廉「せやからちゃうねっ紫「何が違うんだよ！どう見てもこれお前だろ⁈何浮かれたことしてんの⁈」

廉「紫耀っ、聞いて…」

紫「聞きたくねーわ！今更何言っても、この記事は明日世間に知れ渡るんだよ！せっかく…せっかくここまで頑張ってきたのに…お前のせいでめちゃめちゃじゃねーか！」

「紫耀っ！ちょっと落ち着こう？廉の話聞こうよ！」

さすがに止めないとと思い、紫耀に声をかけたけど

紫「聞いたって無駄だろ！ただの言い訳なんて。」

怒りで溢れる紫耀には到底届かなかった…

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す