キズナ5

＊ ページ13

浮所side

那「…っ！」

俺の置いた手を振り払うかのように

ビクッと体を反応させた那須

「え…ごめん…」

予想外の反応に、俺も戸惑った

那「あ…いや…こっちこそごめん…何？」

いや…何って…



なんか、さっきからおかしくない？

いつもの那須ならこんなボケっとしてることあんまないのに

「いや…服買いにでも行かねーかなって。今度。」

那「あ、服ね。うん、行こ。」

本当に聞いてなかったのか…

「なぁ…なんかあった？」

明らかにおかしい反応に、我慢できずに聞いていた

那「え？」

「さっきから変じゃね？ボーッとしてるし。」

那「いや…何でもないよ？ごめん…」

「別に謝んなくていいけどさ。何かあるなら言えよ？」

お前は、こう見えて

俺らの誰よりも、自分のことを表に出さないから

時々、心配になるんだよ

那「本当、何でもないから。疲れただけ。」

「ならいいんだけどさ…」


ちょっと微妙な空気になったところで

俺が降りる駅に着くアナウンスが入った


「じゃあ…またな。」

那「うん。」



そう言って俺は

その日も那須を1人置いて、電車を降りた…






それから2日後

一昨日に続いて、ダンスリハを終え

軽く打ち合わせも済ませて

事務所を出たのは、夜21時を過ぎた頃だった


電車で、龍我は立ったまま寝てた笑

倒れないのが凄すぎる


そんな龍我が降りていき

俺もそろそろだなと、

「じゃあな。」

と、いつも通り那須に声をかけた


那「うん…」

んー…

やっぱなんか変だよな…

体調でも崩してんのか？

いや、仕事中はいたって普通だし

まぁ、大学生にもなって

生活環境もまた変わったから、疲れもあるのかな

なんだかんだ俺も帰ったらすぐ寝てるし


なんて思いつつ、歩き出したとき

グッ…

え？

ふいに何かに引っかかった気がして、足が止まった

振り返ると

那須が俺の上着の裾を掴んでいた



ん…？なになに…？

状況がつかめず一瞬の沈黙が流れる

「…那須？」

下を向いてる那須に小声で声をかける

すると

那「…やだ…」

はい？

いや……はい？笑

ここで降りなかったら俺帰れないんですけど…

突然の言葉に俺の頭はパニック

「は？何…どしたの？」

やだって言ったよね、今

何がやだなの…？

もう着くんですけど…

謎の発言に、そう聞き返しても

那須は何も答えず

ただ強く俺の上着を掴んでる


「ねぇ、本当に何？言ってくんないと分かんないよ？」

反応のない那須と、迫り来る駅の到着に

少し焦りを感じてしまい

俺は少し冷たくそう言ってしまった

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