＊ ページ7
.
とはいえ、本土に移り住むのも色々と大変なのが正直なところ
結局、廉は隆さんと2人で島から用意された仮設住宅に住むことになった
家があったあの場所一帯は
復旧作業のため立ち入り禁止になり
私たちも、足を向けることは無くなってしまった
あれから5年
当時はニュースにもなり、しばらく話題にはなったけど
今ではもう、過去の話
復旧作業も終わり、あの場所は綺麗さっぱり
何も無いただの砂地になった
あの日の話をする人も減ってきて
元気を失った島も、少しずつ元の穏やかな明るさを
取り戻してきてる
やっぱりこの島には、笑顔が似合うから
＿なんてのは、表向きの姿だ
.
.
志「…そか。」
紫「廉もさ…やっぱ強くは言えねぇじゃん？でもなぁ…あい
つのことだからまた絶対大丈夫なフリすんじゃん。そ
れはなぁ…んあぁもう俺言いに行っていいと思う？」
志「…うー…ん笑 微妙よね…そんなんして、廉が喜ぶ気が
しない…てか、多分怒る。」
紫「だろぉ？うかつに入り込めるとこじゃねぇじゃん。」
志「てか廉も、そういう話なら私らにもしろっての。」
紫「まぁなぁ…笑 まぁそこは…俺が聞くからさ。」
隆さんは、あれから別人のように全てが変わってしまった
大切なお店も、兄夫婦も失くして
そりゃその悲しみや辛さは計り知れないけど
今の隆さんは…正直、別の意味で心配
日雇い仕事を時々本土でやるだけで、後はほとんど何もせず、お酒とタバコばかりの毎日
生活費のほぼ全部は、廉がバイトして稼いでる
早朝から新聞配達をして、夕方から夜は本土の港の手伝い
学費は公立高校だからかかんないとしても
少しの補助金だけでは、とても生活していけないから
.
私たちの親が、助けてあげると何度も声をかけたけど
廉はその全部を断った
"大丈夫なんで。"
いつしか口癖になったそれは
周りの私たちが、手を差し伸べる隙間を塞ぐんだ
かろうじて、紫耀にだけは時々弱音を吐くみたいだけど
それも紫耀から言わせれば、だいぶ上辺だけらしい
紫「まぁ仕方ないけどなぁとか言ってたわ、また。」
あの時、島に戻って来た廉に
みんなが必要以上に優しくしてしまったせいなのか
顔を合わせれば、大丈夫？大丈夫？と
中学生の廉にとってはそれが息苦しかったのかもしれない
漫画の世界みたいに、綺麗な絆の物語なんて
現実ではありえない
人は、本当に辛いことは安易に口に出来ないし
周りも、安易に寄り添うなんて出来ないんだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほるる(プロフ) - みりさん» えー涙 ありがとうございます！そんな風に読んで頂けたなんて…私が泣きそうです。これからも頑張りますね！こちらこそよろしくお願いします！ (2022年8月17日 18時) (
レス) id: 2dd70d349b (このIDを非表示/違反報告)
みり(プロフ) - もうほるるさんの作品最高すぎます！もう後半は号泣でしたwとても面白かったです！次回作も楽しみにしています！よろしくお願いします！ (2022年8月17日 17時) (レス) @page39 id: 10f20a389a (このIDを非表示/違反報告)
ほるる(プロフ) - どるんさん» ありがとうございます。割と簡潔に終わってしまった作品ですが、そう言っていただけると書いて良かったと思えます。今後ともよろしくお願いします。どるんさんも、お身体お気をつけて。 (2022年8月4日 18時) (レス) id: 2dd70d349b (このIDを非表示/違反報告)
どるん(プロフ) - 先日はありがとうございました！今回のお話もとても面白かったです。後半は、更新される度涙しながら読んでいました。遅ばせながら、こちらから。完結おめでとうございます。次回作も楽しみにしております。コロナや猛暑が酷いですから、お身体ご自愛くださいませ。 (2022年8月3日 23時) (レス) @page1 id: 3403696d31 (このIDを非表示/違反報告)
ほるる(プロフ) - 咲さん» こちらこそ、いつもありがとうございます。更新が遅くなって申し訳ありません。アイディアもありがとうございました。 (2022年8月1日 15時) (レス) id: 2dd70d349b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほるる
| 作成日時：2022年7月31日 11時
