* ページ6
那須side
あぶねー
みんなに気付かれるとこだった
いや、浮所はなんかちょっと気付いてるっぽいけど
会場が近付くにつれて、確実に不調さが増していた
朝から続く体の浮遊感
血の気が下がる感じ
これは間違いなく貧血だ
途中でミネラルウォーターを買い、塩分を補給する
ずっとって訳じゃないから
仕事が始まれば気が張って多分大丈夫なはず
と言うか、大丈夫じゃないとだめだ
気合いを入れて楽屋に入った
すると一気にみんなの視線が俺に集まって
顔色が悪いと指摘された
そんな一瞬で気付きます?と思ったけど
寝不足だからって受け流した
嘘じゃないし、別に
そしたら、龍我から急に謎の勉強禁止令を言い渡され、楽屋はいつもの明るい雰囲気に
浮所がなんかわいわい言ってる間に、藤井くんの横の鏡前に荷物を置いて、タオルやリハ着を出していた
すると、急に視界が歪み、思わず机に手を着いた
タイミングよく藤井くんが俺に話しかけたみたいで、
藤「え、那須?大丈夫?」
と、驚いたように聞かれる
一瞬だけだったから、顔を上げて大丈夫だと伝える
大昇にフラついてたって言われたけど、立ちくらみだって言い返した
そしたらみんなも何も言わずに準備を始めたから、それ以上突っ込まれなくて一安心
場当たりまで時間もないし、俺も準備の続きをしていると
浮「なぁ、まじで変だと思ったら言えよ?」
わざわざ俺の横に荷物ごと移動してきた浮所がコソッと言ってきた
浮所はこういうのに敏感だから、いつもメンバーが少しでも調子悪そうだったらすごい心配してくれる
ありがたいけど、なんか申し訳ない気もして、明るめに返事をした
でも、俺の返事を聞いてさらに真剣そうな声色と表情で、まじで言ってるからって言われたから、さすがに「分かったよ」と素直に返した
大丈夫。これくらい我慢できる。
本番は楽しみだし、ステージに出ればアドレナリンが出るから
また、気合いを入れ直す
そろそろ場当たりの時間
移動しようと席を立ったときだった
携帯の画面が光り、見ると友達からの連絡が
"忙しいときにごめん!明後日の英語のテスト範囲変わったじゃん?俺メモし忘れて汗 那須分かる?"
それを見て、一瞬で気持ちが揺らいだ
あ、そっか。みんなは今勉強してんだよな。
俺は今から本番で、しかもなんか禁止令まで出てて…
いくら学校では一緒に勉強してても、こうやって少しずつ差がついていくんだ
202人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほるる | 作成日時:2020年1月11日 18時