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俺のあまりの勢いに、さすがの廉も少し驚いた様子で、体をビクッと震わせた
「ごめん、廉。聞いて?」
俺は顔が見えるように、肩を抱き直した
廉は反応しないけど、何も言わないから続けていいってことだよな
「本当ごめん…ずっと一緒にいたのに、お前がそんなに悩んでること、全然気付かなかった。正直、玄樹のこととか、グループのこと考えるのでいっぱいだった。怖かったよな、誰にも言えなくて。廉がそういうの一生懸命我慢するの知ってるのに、何もできなくてごめん。」
顔を覗き込むようにして、声をかける
廉「……ちゃう…紫耀は悪ない…俺が、勝手に…」
謝る俺に、廉が首を振りながら答える
「違わない。俺ら4人もいるのに、誰も気付かなかったから。それに、廉はもっと悪くない。お前はちゃんと頑張ってんじゃん。」
だから、自分を否定しないで
「大吾と正門がさ、デビュー決まったとき、俺に廉を頼むって言ったんだ。廉は自分がデビューすることで、関西と距離ができるかもって不安になってるからって。廉にも直接言ったけど、お世辞でもなんでもないから、本心だから、俺たちのことは気にすんなって。廉に嘘って思われたら嫌だから、紫耀にも言っとくって。」
大吾たちの名前を出すと、廉の目からさらに涙が溢れたけど、たぶんこれは伝えた方がいいことだから
「もし…廉が立ち止まりそうになったら、俺たちがそう言ってたって伝えてやってくれって言われて。何があっても、離れてても、俺たちは廉の味方だし、本気で応援してるからって。…俺、その時大吾たちから廉のこと託されたって感じて…俺が守るって決めたんだ。……なんか恥ずかしいけどな、こんなこと言うの。」
悔しくないはずはない
大吾も正門も、本当は自分が廉とグループ組みたいって思ってたかもしれない
だって、もともと同じグループだったのは2人の方だ
でも、自分たちの思いだけで生きていける世界じゃないから
東京で頑張ると決めた廉の背中を押して
頑張れって
そう本気で思うまでに、きっと色んな気持ちがあったと思う
そんな2人から託されたからには
1番近くにいられる俺は
廉の1番の理解者であろうと決めた
だから、こんなに苦しんでたことに気付かなかった自分が許せない
だからせめて、これからは
俺に守らせて
「廉は関西を捨てたりなんかしてない。キンプリを捨てたりなんてしない。分かってる。お前のこと、ちゃんと知ってるやつはみんなちゃんと分かってるから。信じて?」
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作者名:ほるる | 作成日時:2020年1月11日 18時