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龍「那須ー?聞こえる?」

那須の前にしゃがみ込み、龍我が声をかける

でも、那須は何も答えない

俯いていてあまり表情が読み取れないけど、反応を返す気力は無いことは分かる

金「やばくない…?大丈夫なのこれ…?」

金指も不安そう

龍「那須、もし俺の声分かるなら、手握れる?」

那須の手を握って、龍我がもう一度聞く

すると、力は入ってなさそうだけど、かすかに那須の手が龍我の手を握り返した

龍「おっけー、聞こえるね?気分悪い?」

数時間前まで、俺たちをガリ勉ガリ勉と言いまくっていた龍我が、なんかすごい頼もしく見える

ステージでバンバン鳴っている曲や、歌声、周りで準備をしているスタッフやJr.たちの足音が響く中、出来るだけ優しく、でもはっきり聞こえるように、ゆっくりと龍我が那須に話しかける

その問いかけに、小さく那須が頷いた

龍「そっかそっか。多分貧血だから、このままちょっとじっとしてよう?」

大昇は那須が今水を飲める状況じゃないことを察し、ペットボトルを那須の首筋にそっと当てた

藤井くんも大昇が持ってきたタオルで仰いでる

俺は那須の体を支えながら、肩をさすり続けた

「那須、吐き気とかない?」

そう聞くと、那須は首を横に振る

なんとか反応してくれるけど、意識は朦朧としてる感じで、貧血ってこんなになるのかって不安になる

すると、だんだん那須の呼吸が荒くなってきて…

ますます俺たちを不安が襲う

でも、ここで俺たちが焦ったらダメだ

その思いだけは働いて、メンバーは誰も取り乱したりしていなかった

「大丈夫大丈夫、那須、大丈夫だから…」

だけど、大丈夫って言ってやることしか出来なくて

出番も気になるし、那須はしんどそうだし、俺たちどうすれば…

そこへ…

岩「大丈夫か?調子悪い?」

龍我の向こうから、声と共に何人かの姿が見えて…

岩本くん…

見上げると、岩本くんと深澤くんと阿部くんが立っていた

岩本くんは俺たちの顔を見るなり、ふっと優しく微笑み

岩「大丈夫、そんな顔すんな?」

そう言って俺の横にしゃがんだ

どんな顔してますか…俺たち…

でも、3人の顔を見て視界が滲んだ感じになったのは分かったから…

阿「びっくりしたよな。でも大丈夫、俺たちに任せな?」

こんなに誰かを見て安心したの初めてかも…

龍我ごめん、さっきは頼もしいと思ったけど…比べ物にならなかったわ…

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作者名:ほるる | 作成日時:2020年1月11日 18時

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