＊ ページ5
KS
カルテの整理をしながらも
頭の中は廉のことばっか
そもそも、あいつは何でここに来たんだろ
今までも1人の夜はあったのに
そう考えると、さっきここへ来たのには
寝れない以外の理由があるんじゃないか
てか、寝れない理由も聞いてないじゃん…
"優太の優は、優しいっていう字でしょ？
だから、どんな人にも優しく耳を傾けてあげるのよ？
きっとそれだけで、沢山の人を助けてあげられるから…
ね？優太？…お母さんとの、約束よ？"
頭に蘇る、母さんの声…
"…あっ…あの、さ…"
「ちょ、俺もっかい廉のとこ行ってくる。」
自然と動き出した足は、真っ暗な廊下を
迷いもなく進んだ
たどり着いた部屋のドアを
ゆっくり開いて、中に入る
月明かりだけが差し込んだその部屋は
やっぱりいつもより静かで
物音ひとつしな…
グスッ…
くない…
聞こえた小さな声に、一度止まった俺の足は
また進み始めた
そして
部屋の1番奥のベッドに近づき
「廉…？」
頭まですっぽり布団を被ったその声の主に
声をかけた
俺の声に驚いたのか
さっきまで聞こえていた声が止まる
ゆっくりと、布団を捲ると
「…どした…？」
見えたその目は、涙で濡れ
華奢な体は、小刻みに震えていた
"人が大丈夫って言って笑うときはね…
何かを必死に我慢してるときだから…
あなたはそれに気付いてあげられる人になるのよ？"
廉「…き、し…くんっ…」
伸ばされたその手を
そっと握り返す
「うん、ごめんな。1人にして。」
神「…廉…」
背後からポツリと聞こえた、相方の声
なぁ神宮寺
俺たちに出来ることって…何？
手を握ったまま、そっと抱き起こした体を
ベッドの端に腰掛けた自分の方へ引き寄せる
廉「…うっ…グスッ…はぁ…っ…」
俺の胸に頭を預け、辛そうに涙を流す廉の肩をさすりながら
俺は、いつかの母さんの言葉を思い出していた…
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺の記憶の中に、父親の姿はない
物心ついたときには
家には母さんと2人だった
でも、寂しくはなかった
母さんはいつも笑顔で、優しくて
俺のことを沢山褒めてくれた
だけど
ある日、母さんは突然姿を消した
いや…突然ではなかったかもしれない
いなくなる前日の夜
母さんは俺に、いつになく真剣な
そして、切なそうな顔をして
"優しく人の話を聞ける人になれ"
"大丈夫の裏にある本心を見ろ"
そんな話をしてきた
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ほるる(プロフ) - 由夏さん» ありがとうございます。そうですね、また機会があれば、そんな未来も考えてみます。 (2021年7月16日 3時) (
レス) id: 239ad4e83f (このIDを非表示/違反報告)
由夏 - 今は苦しくてもいつかは３人ともハッピーエンドにしてください｡ (2021年7月15日 23時) (レス) id: 233a7fa478 (このIDを非表示/違反報告)
ほるる(プロフ) - ねおん。さん» お忙しい中読んでくださり、コメントまでありがとうございます。いつも勿体ないくらい褒めていただけて、1人で赤面しています。まだまだですが、私も色々表現方法を考えながら描いていきたいと思ってますので、引き続きよろしくお願いします。 (2020年11月24日 19時) (レス) id: 239ad4e83f (このIDを非表示/違反報告)
ほるる(プロフ) - 音さん» コメントありがとうございます。そう感じていただけて嬉しいです。メディアで見る彼らのやりとりは本当にほっこりしますよね。泣いてくださるほど物語に入り込んでいただけたこと、本当に感謝しています。それを知って今私が泣きそうです笑 (2020年11月24日 19時) (レス) id: 239ad4e83f (このIDを非表示/違反報告)
ねおん。(プロフ) - 完結おめでとうございます。この所プライベートがバタバタと忙しくなかなか占ツクにやってくる事が出来ず、やっと今日最後まで拝読させて頂きました。毎度書いている気もしますが、やっぱりほるる様の表現や書き方にとても憧れます。今回もとても面白かったです。 (2020年11月24日 19時) (レス) id: 8a6fbf79cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほるる
| 作成日時：2020年10月18日 19時
