後戻りができない ページ33
「俺に、キスして欲しかったの」
「いや？そういうわけでは………？」
そこは否定するのか
それはそれでむかつくが
「じゃあ、なんであんなに怒ってたの」
この一言に、急に顔を赤らめるA
「それだけは、黙秘、させてください………！」
顔を覆って隠してしまった
もう、さすがに笑ってしまいそうだけど、あと、もう一歩なんだよな
「俺がカナミさんに手を出したと思って、カナミさんにヤキモチ妬いたんですか」
弾かれたように顔を上げたAは、愕然とした表情だった
「やっぱり、………そうなんですかね………？」
俺の想像した反応と違うんだが
赤くなって恥ずかしがるとか、赤くなって違うと怒るとか、赤くなってそのまま抱きついてくるとか、いろいろなパターンを考えたんだけどな
彼女は本当に変わったひとだ
俺がいろいろ考えているうちに、とうとう頭を抱えるA
「そうだったら、私、面倒臭いです。すごく面倒臭い女です」
なんだかひとりで身悶えているが、俺に怒ってた理由を隠したかったんじゃなかったのか
めちゃくちゃ自分で言ってしまっているアホなAを見ているのは面白いが
そろそろ赦してやるか
「もう、怒ってないからいいよ」
「でも………」
そう言いながらも、Aは撫でられると うっとり目を細めてしまう
「やっぱり、午後からついて回ろうか」
「え？」
「俺が居なくて寂しかったんだろ」
今度こそ赤くなって怒るかな
そう思いながら髪を鋤く
「うん………さみしかったかも………」
「！」
顔に熱が集まるのを感じて、手で顔を覆って隠した
俺が赤くさせられてどうするんだ
彼女が俺の顔を見てしまう前に、強引に体を抱きしめた
おずおずと背中に手が回される
彼女は自分を"面倒臭い"と言ったが、俺にとってはかわいい嫉妬だ
俺が居なくてさみしかったのか
ついて回ると迷惑そうにしてたくせに
もう一度髪を撫でてやると、すり……と顔を押し付けてきた
この甘く優しい時間はあまり長くは続かなかったけれど
彼女が例のスイッチを発動させて、俺の頬の手当てを始めるまで数分間
彼女が俺を必要としてくれてることが、何よりも支えになる気がした
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はむ(プロフ) - 涼嶺さん» うれしいコメントありがとうございます！ラストスパート頑張りますね！お話も終盤で暗めですが、後もう少し付き合ってもらえるとうれしいです(^^) (2019年10月20日 1時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
涼嶺(プロフ) - とても楽しく読ませて頂いてます！これからも頑張ってください！ (2019年10月20日 0時) (レス) id: 9bbe7fe112 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます！ (2019年10月11日 7時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 後戻りができないの話、誤字がありました。「それはだけは」ではなく、「それだけは」です。 (2019年10月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！助かります！ (2019年10月3日 17時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむ | 作成日時：2019年9月16日 0時
