8 ページ8
ここが、新しいお家…………
用意されたマンションを 一人呆然と見渡す
2LDKのこの部屋は結婚する二人が住むには広すぎず、狭すぎず………………ちょうどよく計算されて宛がわれたのだろう
一室はベッドルームとして
もうひとつの小部屋は たぶん相良さんの書斎として、デスクと本棚で埋め尽くされて 人一人居るのが限界の広さだ
好き同士の二人には良いかもしれないが
私にとってこの部屋は まるで逃げ場のない祭壇のよう
いずれその時が来るとは思っていたが
これから社のための生け贄となるのだ
ピーンポーン
全く愛着のない部屋に インターホンの音が響き渡る
鍵を開け、実家で指導を受けたことに倣い三ツ指をついてお待ちした
「お帰りなさいませ。ふつつかものですが、本日より よろしくお願いいたします」
「………………はぁあ?」
「え………………?」
今、なんだか変な声が聞こえた気がしたけれど…………
思わず相良さんを見上げると、一度目をパチリと瞬かせ お見合いの時と変わらぬ表情でしゃがみこんだ
「お久しぶりです、Aさん。俺はそういう堅苦しいのはいいんで、もう立ってもらっていいですよ…………」
ぽん と私の肩を叩いて立ち上がる相良さんを呆然と見上げていると
「…………ほら」
と、両脇に手を入れて起こしてくださった
「大丈夫ですか?入りましょう…………」
そう言ってうっすら表情を緩めた彼は
お見合いで見たどんな笑顔の彼よりも
彼らしかった
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - 蛇姫さん» 蛇姫さま 2回目のコメントありがとうございます!スッゴくうれしいです!鬱展開でもお付き合いくださってありがとうございます!ゆっくりですががんばりますね(*^^*) (2019年3月27日 1時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
蛇姫(プロフ) - 作品読ませてもらってます。心が温まります!相良さんの優しい雰囲気がすごく好きです。作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます (2019年3月25日 11時) (レス) id: c00677cd65 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 青菜さん» 青菜さま うれしいです!私もいただいたコメント何度も読み返してしまいました!ゆっくり更新で申し訳ないですが、これからもよろしくお願いします!! (2019年3月3日 15時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
青菜 - めちゃくちゃ好きで何度も最初から読み直してます。更新大変だと思いますが頑張ってください! (2019年3月2日 23時) (レス) id: dec0cd6493 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 蛇姫さん» 蛇姫さま 楽しみにしていただけてうれしいです!なかなか今回は書くのが進まないので、コメントすごくありがたいです! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はむ | 作成日時:2019年2月16日 21時