狂犬の花嫁【今日から俺は】

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「Aよォ…………その苦しいのが嫌だとか辛いってことなんだよ。昨日のあたたかい感じと逆だろ」



「そう…………なんですか…………」



やべえ

かわいい…………

かわいいぜ A



俺はお前ぇにとって にいちゃんだとかおとうさんくらいの存在になれればイイトコかと思ってたが…………

これって意外と脈アリなんじゃあねえか…………？




掴んでいた手を引き寄せて

ぎゅっと抱きしめてみる



俺に体を預けたAが胸元に顔を擦り寄せた







「なぁ…………俺が昨日どんなヤツと居たか教えてやろうか」


「え………………」

複雑そうな 泣きそうな顔で見上げるA

人が悪いなんざ百も承知だ

ニヤつきそうなのを我慢して そっと顔を近づける



「人よりゴツい同期の男」




ぽかんと口を開けたAに思わず笑いが込み上げる




「Aと住むようになってから 別の女と遊んだりはしてねえよ。お前ぇが嫌がるなら尚更だ。ずっとお前ぇの側にいてやるから」


「でも…………息抜きに別の女性と遊んで来るって…………」


ああ、あのとき言ったことを 気にしてやがったのか



「悪かったな…………あのときはお前ぇの気を引きたくてよォ…………
でもな、あの時だって その同期と飲んでただけだぜ」



俺をぽけっと見上げる瞳から

ポロリ ポロリと涙が落ちる



「悪ぃ。嫌なこと言っちまったんだな。
もう言わねえよ…………お前ぇの気を引きたくなくなったからじゃあねぇ。Aが大事だから泣かせたくねえんだよ」


どんどん落ちる涙を拭ってやる


「…………私………が……大事………………？」



「大事だ。だから幸せにしてやりてえと思ってるよ」


ちなみに幸せっつーのは胸の辺りがあたたかくなることがいっぱいあることだぜ



ぼろぼろ溢れる涙はいくら拭ってもきりはねえが

Aの感情を掬い上げていると思えば全く面倒に感じねえ
むしろこの行為すら大事だ




「大事なんて…………初めて言われました…………」



俺の腕の中で涙を流すAが


そっと自分の胸元に手を当てた





「たぶん…………今…………幸せなんだと思います」

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