狂犬の花嫁【今日から俺は】

43 ページ43

っっっしゃあ！！！




耐えた！

よく頑張ったぜ俺！！！





3週間の禁欲生活に加えて

好きな女の下着姿

本心じゃねえにしろ 抱いてくれなんて言われてんだからよォ…………




10代だったらもれなく失敗しちまってたな

年食うのも悪いことだけじゃあねえな




アホみてえなことをわざと考えて

俺の俺をなんとかなだめる俺…………




布団の中に ふたり

隠れるようにAを押し込んで

外ではうっすら 知らねえ女の喘ぎ声が響いてる



AV加工してイカニモな感じにしたダミーだ

家で作るのは色々不味いからな

職場での作成を余儀なくされて
俺を見る野郎共の哀れんだ目と言ったら…………

まぁ、こうして日の目を見ることになったんだから
報われたと言って…………いいのか？





暗がりでようやく見えるAの顔は

まったく状況が見えてねえようで



大きな声を出さねえように

そっと口許に人差し指を当てた



「でけえ声出すなよ？この部屋、たぶん盗聴されてるからよォ…………」


目を見開くAの口を念のため手で覆う

騒ぎ出さねえのを確認して そっと放した



「まずは服を何とかしろ。いくらなんでもこれ以上はもたねえかもしんねえから」


「でも…………」


「言ったろ。お前ぇが自分で望むまで、俺はお前ぇを抱く気はねえって」



まったく動く気配のないAに痺れを切らして

服を整えてやる



ったく、脱がすならまだしも

ふたりきりのベッドの上で
何が悲しくて嫁の体を隠す手伝いしなきゃあなんねえんだ




「困ります…………抱いてくださらないと、困るんです」

今にも泣きそうな声を出すA


「実家に行ったな？」


「…………………………………………。」


「まだ俺と関係をもってねえことを責められたか」


「…………………………………………。」


無言なんて 肯定してるようなもんだろ


「俺をとっとと懐柔して 会社の情報聞き出せって？」


「違います！相良さんと懇意になることが、両社の結び付きを強くすると…………！」


思わず声を荒げたAの口を押さえた


Aにはそう言って納得させてんだな



部長職であっても一社員でしかない俺が、取引先の娘と仲良かろうが何だろうが

会社への影響なんてたかが知れてる




昔馴染みの情報屋から聞かされた
Aの生い立ちや実家での暮らしぶりは
思わず耳を塞ぎたくなるようなものだったが


それを知ってしまっているだけに、東三条の意図は見えた

44→←42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す