crazy in love【呪術廻戦】

31話 ページ36

Aside



目の前で起こる非術師の殺し合いを見ながら煙草に火をつける。




高専の非常勤講師になって約2ヶ月。



あれから任務続きのため高専には一度も顔を出せていない。

前と同じただ任務をこなすだけの生活を送っていた。




日本に久しぶりに帰ってこれたと思えば上層部から渡される任務は人殺しのものばかり。




呪詛師殺しが大半ではあるものの、政治家であったり、呪術界において面倒な存在、それがたとえ世界にとっては無害なものであっても殺さなければならない。



私の術式は物理攻撃が専門ではない。
身体に外傷をつけず殺すことが出来るため人殺しの任務には大変重宝されている。




人殺しに特化している呪術師なんて、不名誉極まりないが。




最初はそれなりに抵抗はあったが、もう十数年こんなことをしていると、何も感じなくなってしまっていた。



自分の人生に関係の無い人間の死なんて、呪霊を祓うのとそう大差ないと思ったから。


……こんなことを言うと硝子に怒られてしまうな。






今回は300人近くが集まる宗教の集会で300人に術式をかけて殺しあってもらう、というものだった。



「だ、誰だ！！！！」





『名乗っても意味ないんですよ。これからあなた達死ぬので。




《極の番、鏡花水月》』




極の番、鏡花水月


五感全てを奪って、見えているもの、聞こえているもの、感じているもの、触っているもの全てを錯覚させるもの。



呪言と違って口で出さないおかげで対象者は呪術師であっても術式にかかったことすらわからない。


それ故に、300人規模の人間が突然殺し合いを始めても誰も助けを求めないため、術式を解かないかぎり全員が死ぬまで殺し合いが続く。



鏡花水月と領域展開に限っては術式領域が限られているために遠方からの攻撃が出来ない。







『早く終わんないかな〜…』





体育館くらいの広さの建物の中、ただただ、目の前で起こっていることをぼうっと見ながら全員が死ぬのを待った。

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