15話 ページ15
＊
それからの行動をAは覚えていない。
気づけば帰りの電車に揺られていたAは慌ててスマホを取り出して本日の同行人にメッセージを送信する。
数秒で既読がついて、すぐに返信が返ってきた。
『大丈夫だよ！僕もあの後オールマイトのコーナーで暴走したから』
−まじで？まったく記憶にないや。本当に申し訳ないです…
−気にしないで！実は友達が居なくて、こうやって誰かと出かけるのもいつぶりだろうってくらいで。だから今日はすごく楽しかった！
良い人かよ。思わずAは目を瞑った。
『おれも周りにオタクがいないから気兼ねなく話せるってめっちゃ楽しいんだなって知ったよ。こちらこそありがとう！』
それからいくつかやり取りをして、Aはスマホの電源を切った。真っ暗になった画面を見つめて、非日常を思い返す。
とても楽しい1日だった。1度は泣きを見た展示会に参加できたし、予てより望んでいたオフ会はできたし、グッズも無事に保護できたし(意識が朦朧としながらもきちんと物販に飛びついていたらしい。GJおれ)。
ちなみにグッズは会場限定のものだけで、全ては購入していない。
16歳の少年がブラインド商品を箱買いしたり特大ポスターを買ったりしたらさすがに怪しいだろうと考えてのことだ。地方組のために事後販売があることは分かっているので、届くまで日があるが我慢した。
「…………ぅぅ」
なんだかんだ言って、特別インタビューの映像もしっかりと頭に残っている。
朝ドタバタしながら適当に掴んだ腕時計だが、推しとお揃いと思うと見方が変わってくるものだ。どこのグッズかと考えると頭痛がするので無心で行こうと思う。いや、まじでなんで？ダメダメ、考えない。おれはサイボーグ。鉛の頭じゃ何も分かりません。
推しのグッズを抱え直して、Aは余韻に浸る。
そう言えば、同行人はAの正体に気づいていなかった。そこそこ知名度があると自負していたが、推しに一直線のオタク相手なら問題ないのかもしれない。だってAの仕事は声を使うことで、半日一緒にいた彼はそれでもAに気づかなくて……？
ピシャンとAの頭にイナズマが走る。
それなら相互の通話に参加できるのではないだろうか。
逸る気持ちをそのままに、Aは消したばかりの画面をタップしてヒロッターを開き、オタク垢を選択して数日放置していたTLを見た。
『ホークスってAのファンなん！！？』
Aは泣いた。
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蒼月(プロフ) - ホークスがなんで腕時計つけてるのか気になりすぎてやばいです!!良ければ短編でもいいので、厳しいかもしれませんがホークスとの絡み等の続き待ってます（; ;） (2022年10月17日 22時) (
レス) @page30 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - るぽたさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ないです;; オタクは皆同じということですかね！！(?) 止まり気味ですが気長にお待ちいただければ幸いです！ (2022年3月16日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
るぽた(プロフ) - 凄く共感できるところが沢山あってニコニコしながら拝読させて頂きました……とても面白いです(*'▽'*)応援しております！！ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 794a8648aa (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - えどさん» コメントありがとうございます！更新が止まっていて申し訳ないです…気長にお待ちいただけると幸いです;; (2022年1月28日 22時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 更新楽しみにしてます♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜ (2022年1月26日 9時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月3日 22時
