1話 ページ1
＊
12の歳に見た彼の姿を、今でも忘れられないでいる。
4年前、Aは仕事の休みを利用して九州へと旅行に訪れた。
立場と個性柄、目立つことは重々理解していたためキャップにサングラスとベタな変装をしていたAは、大通りを観光中、不運にも逃げてきた銀行強盗犯に人質にされてしまった。
首に刃物を突きつけられて恐怖に喉が引き攣る。事態は彼らの思惑通りに進み、Aを盾に強盗犯は足早に警察から逃げた。
流れるような早業で仲間と思わしき人物が運転してきたワンボックスカーに引きずり込まれる、そのときだ。
「強盗はつまらんよ」
突然現れた赤い羽根を背に蓄えた若い男が目にも止まらぬ速さでAを保護し、強盗犯を宙に留めていた。待機していた仲間も同様に車から放り出され、地面に縫い付けられる。
すべてが瞬きの瞬間に終わっていた。
ぽかん、と解放された実感の湧かないAが口を開ける隣で、若いヒーローは「怪我はない？」と少し訛りのある発音でAの顔を覗き込んだ。
わあわあと異例のスピード解決に盛り上がる民衆も、強盗犯たちを縛る警察も、Aの目には入らない。鮮やかな、だけど夕焼けのような切なさとすべてを包み込んでくれる剛柔さを兼ね備えた翼が、あまりにもキラキラと輝いていて。
「……ぁ」
「ん？」
ゆっくりで良いよと優しく微笑んだヒーローに、当時小学生だったAは容易く射貫かれてしまったのだ。
その後、血相を変えて走り寄ってきた母に抱きしめられたことで、ヒーローは御役御免とばかりに飛び去って行った。
怪我はないかと母から同じ質問を問われたAは勢いよく左胸辺りのシャツを掴んでこう言った。
「しっ…しんぞうが痛い！お母さん！これなに！？」
「心臓！？不整脈！？び、病院行かなきゃ！！」
母共々ぎゃあぎゃあと騒ぎ、事情聴取にと近づいてきた警察に病院まで送ってもらったが結果は異常なし。
じゃあこの痛みは何だと医師に話し、いくつかの質問を経て出た診断結果は「オタク」だった。どこか悪いところがと顔面蒼白で息子の手を握っていた母は白目を剥いた。
とんでもない診断結果が出たが、その手の種族に理解と関わりのあるAは大いに納得し、今後の身の振り方を考え始めた。
とりあえず、かのヒーローの御芳名をどなたか教えてください。
これはちょっと特殊な事情を持つ"おれ"ことAが、オタク仲間と共に推し事をエンジョイする物語だ。
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蒼月(プロフ) - ホークスがなんで腕時計つけてるのか気になりすぎてやばいです!!良ければ短編でもいいので、厳しいかもしれませんがホークスとの絡み等の続き待ってます（; ;） (2022年10月17日 22時) (
レス) @page30 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - るぽたさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ないです;; オタクは皆同じということですかね！！(?) 止まり気味ですが気長にお待ちいただければ幸いです！ (2022年3月16日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
るぽた(プロフ) - 凄く共感できるところが沢山あってニコニコしながら拝読させて頂きました……とても面白いです(*'▽'*)応援しております！！ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 794a8648aa (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - えどさん» コメントありがとうございます！更新が止まっていて申し訳ないです…気長にお待ちいただけると幸いです;; (2022年1月28日 22時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 更新楽しみにしてます♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜ (2022年1月26日 9時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月3日 22時
