22話 ページ22
＊
いたくイチゴを気に入ったAは、ロケ中に自身へのお土産用にと1パックをレジに通した。
ホクホク顔でビニールハウスを出たAにスタッフが忍び笑いをしながら「忘れていませんか」と声をかける。カメラは回ったままだ。
歩みを止めたAは、数秒開けて「あ」と空気を吐き出した。
忘れてましたと頭をかいて、Aたちは出てきたばかりのハウスへと逆戻りする。
事前の打ち合わせでは、スタジオ用に3パック買っていくという話だったのだ。
おかげで、レジを担当したお姉さんは困惑の表情を浮かべていた。
常にローテンションなAの意外な一面が撮れたと、思わぬ撮れ高にディレクターもニッコリだ。
何も起きなくても視聴率が稼げるAだが、ハプニングはあればあるだけ良い。
「すみません、買い忘れてました。実家用にもう1パックお願いします」
違うそうじゃない。
OA後、この放送は「Aのはじめてのおつかい」として伝説回に数えられることになる。
・
帰り道。
長時間揺られるつかの間のバスの旅に、行き道と同様に休憩タイムが挟まれる。マネージャーが楽しみにしていた体育祭は既に終わっているので、見逃した番組を見ることができるアプリで視聴中だ。
ガタガタとバス特有の揺れに眠気を誘われ、Aの瞼は徐々に下がっていく。
ぼーっとマネージャーのスマホ画面を見ているが、情報としては頭に入ってこない。
今にも寝そうなAに気づいたマネージャーが、Aの私物のタオルケットを手渡す。
いつカメラが向けられるか分からないため、ホークスのコラボアイテムではなかった。
画面の中では第1種目が終わろうとしているところで、最後の地雷原を駆け抜ける高校生たちに大きな声援が送られている。
『A組緑谷！爆発で猛追…っつーか！抜いたあああ！！』
「おお！！なになに、飛んでる！？」
ワッと沸いたマネージャーの声に、半分落ちていたAの意識が覚醒する。
プレゼントマイクのハイテンションは先程から変わらないが、生徒相手にマネージャーがここまで盛り上がるのは初めてだった。何が起きたのかと、糊で固められたような瞼をこじ開けてAは画面に目をやった。
「……は！？」
そこには、先月ヒーロー展示会に同行させてくれたカツ丼の姿があった。
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蒼月(プロフ) - ホークスがなんで腕時計つけてるのか気になりすぎてやばいです!!良ければ短編でもいいので、厳しいかもしれませんがホークスとの絡み等の続き待ってます（; ;） (2022年10月17日 22時) (
レス) @page30 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - るぽたさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ないです;; オタクは皆同じということですかね！！(?) 止まり気味ですが気長にお待ちいただければ幸いです！ (2022年3月16日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
るぽた(プロフ) - 凄く共感できるところが沢山あってニコニコしながら拝読させて頂きました……とても面白いです(*'▽'*)応援しております！！ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 794a8648aa (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - えどさん» コメントありがとうございます！更新が止まっていて申し訳ないです…気長にお待ちいただけると幸いです;; (2022年1月28日 22時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 更新楽しみにしてます♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜ (2022年1月26日 9時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月3日 22時
