ヤンデレだらけの短編集２【ヘタリア】

食べてしまいたい【米】 ページ2

【食欲と愛情の話】
※軽いカニバ(食人)表現注意！！
アルフレッドside








独立する少し前、初めてAをみた。


一番初めに思ったのは、


【可愛い】でも、【好き】でもない。



【美味しそう】だった。



勿論すぐに否定した。


人を【美味しそう】なんて可笑しい。


独立前で、疲れているんだって思った。


でも、その思いは独立後でも続いたんだ。


さらに可笑しな事に今は【食べたい】とすら思える。


彼女の事は愛してるし、傷つけたくはないんだ。


でも、食べたい。


細くて美しい指や、足を齧ったらどんなに素晴らしい味がするんだろうか。


きっとバーガーとは比べ物にならないほど良いに違いない。


忘れられなくなるくらい、可笑しくなるくらい美味しいんだろうね。




Aを見るたびにお腹がすく。


苦しくて、もどかしくて堪らなくなる。


あぁ・・・食べたいんだぞ・・・。


もうそれしか考えられない。


彼女が何を言ってるかすら分からない。


可笑しな薬でも飲んだみたいに、

まだ食べてもいない彼女の味に中毒になってる。


脳も、目も、全部が釘付けになってる。


それ以外食べる気になれない。






・・・・・ちょっとだけ。


ちょっとだけなら、良いかな。


少し味見するだけ。


味が分かればすっきりするかもしれないしね。


そうと決まれば、いただきますなんだぞ。




　 『いっ・・・な、何・・・。』



ガリ、と指に噛みつく。


徐々に歯が食い込んでいって、血の味がする。


Aの表情は見えない。



　 『ちょ、まって・・・やめっ・・・・。』



夢中で彼女を食べた。


美味しい。


昔から食べたかった味は、これだったんだね。


ずっと、ずっと食べていたい。


ほんのりしょっぱくて、それでもって甘い。


サイダーみたいなさわやかな感じもするし、

バーガーみたいな重量感もある。


この世界のどんな物よりもおいしい。





　 「ありがとうA。」




そう声をかけた時には、もう彼女は居なかった。


・・・・・。


こんな時なのに、


ヒーローとして・・・というか人として、

彼女の死を悲しんで後悔しなければいけないのに。



















何処かに満足している自分がいる。


ご馳走様、A。

痛いくらいに強く【伊】→←正しい愛し方【伊・南伊】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す