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別離 ページ16

『私がお兄ちゃんと離ればなれになる8年前までは中学校の先生をしていました。
とても生徒思いで、生徒から慕われている自慢のお兄ちゃんでした。
お兄ちゃんと仲の良かった生徒、さらちゃんとそーたくんは私のことも可愛がってくれた。私とも沢山遊んでくれた。

でもある日を境にお兄ちゃんは変わった。
その日から、そーたくんの姿を見ることも無くなった。
そしてその後、私は沼田家に預けられた。
お兄ちゃんは『必ず迎えにくる』という言葉を残して...。
でも、8年経った今も迎えに来る気配もないどころか消息も掴めない。私の記憶から、大好きだったはずの兄との記憶や兄の顔は薄れていった。』


『でも私は、あの日の、先生が沼田家を出ていく時のあの一言で思い出した。
お兄ちゃんは実は目の前にいたんです。吉本荒野先生、あなたでした。』


Aは吉本の方を見た。


「...話が矛盾していないか?君のお兄さんの名前は田子雄大なんだろう?
俺は吉本荒野だ。
吉本荒野には妹なんて居ない。一人っ子なんだよ。」



『確かに、吉本荒野は一人っ子なのかもしれない。
でも、私には誰がなんと言おうと、家庭教師吉本荒野は私が世界で1番大好きなお兄ちゃん、田子雄大です。
つまり、田子雄大なら妹がいる。

ずっと会いたかった。寂しかった。』



「......違うんだよ.....。」

吉本荒野→←告白



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作者名: | 作成日時:2020年9月13日 15時

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