再会 ページ12
2人が帰宅すると、リビングには全員が集合していた。
家を出ていったはずの佳代子の姿もある。
慎「家出てったんじゃなかったの？」
佳「やり残したことがあって...。」
慎一とAはそれに対して特に反応もせず、布をズタズタに破かれたソファに座った。
2人が座ったのを確認すると、一茂は口を開いた。
「集まってもらったのは他でもない。この家を売ることにした。明日、不動産業者が来るらしい。」
『なんだそんなことか。』
素っ気ない反応をするAだが、それに被るように佳代子も話を始めた。
佳「私からも話があるの。」
そう言ってカバンから1枚の紙を取り出す。
佳「離婚...したいの。」
さすがにこれにはみんな少し動揺を見せた。
一茂も動揺しながらも、佳代子に覚悟の上で決めたのかと確認をとる。
佳「これが、私なりに考えた結果です。」
慎「じゃあ離婚したら俺たちはどうなるの？」
慎一は冷静に疑問を口にした。
佳「私たちのとこが嫌なら...おじいちゃんに頼んでもいい。あなたたち3人なら面倒見てくれると思うから。
それに、Aにはお兄さんもいるし...。」
『もうこの世にいないけど。』
Aの返答に慎一以外は驚いた表情を見せる。
慎「消息も顔も名前も、どこにいるかも分からない兄貴を見つけられるとでも思ってる訳？」
佳「ならやっぱり、さっき言った通り...。」
すると、それまで黙って聞いていた茂之はいきなり立ち上がり、離婚届を手に取るとビリビリに破いて飲み込んだ。
みんなその様子を見て驚くも、何事も無かったかのようにまた1枚カバンから離婚届が取り出された。
慎「別にいいんじゃない？父さんが納得できるなら。今更家族ぶって止めんのも違うと思うし...。」
『右に同じく。私は元々部外者だし。』
両親の離婚に特に反対もしない上2人と違い、茂之は反発をする。
茂「俺は反対だよ！」
一茂は再度佳代子に確認を取るとペンを手に取った。
茂「ダメだよ！そんなのダメだって！」
必死に阻止をする茂之
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜い！！！！」
するとそこに聞き覚えのある、場にそぐわない陽気な声が聞こえてきた。
みんな一斉に声のした方を向く。
「呼ばれてないのにジャジャジャジャーン」
その声の主は吉本荒野である。
「いいねぇ〜〜。」
吉「派手にやらかしましたねぇ〜〜」
一「二度と顔を見せるなと言っただろ！」
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作者名：狂 | 作成日時：2020年9月13日 15時
