YG ページ28
事務所で作業をした後『クム』で休憩するのが決まりのようになっていた。
ヌナとは新しい夢を見ない限り昔の話しはしない。
ただ、コーヒーを入れてもらうだけ。
それだけなのに不思議と癒される自分がいた。
SYエンターテイメントに行く日、妙な胸騒ぎがして落ち着かない…
ホソクの横に座るヌナを見ながら頭の中で“今度は俺が守るから”と誰かの声が聞こえた…
素晴らしい社屋に興奮するメンバーとは対照的に冷めていく。
JIN「なに怖い顔してんの？こんな時こそスマイルでしょ！」
肩に腕をまわして顔を覗き込んできたヒョン。
あー、柄にもなく緊張してんのかな？
「いつもこの顔なんで。」
ふてくされたように答えちまった俺に微笑みながらヒョンは言った。
JIN「まぁ、そうだけどさ！何があってもユンギはユンギ、僕たちがついてるから。」
思いを見透かされたようで「ん」としか答えられなかった。
屋上庭園のような場所に案内されると、一番奥に2本の木と綺麗に盛った土山があった。
その土山の横に車イスに乗ったご老人といかにも仕事ができそうな男がいた。
近づくと急に車イスから立ち上がったご老人が地面に膝をつき俺に向かって頭を下げた…
突然のことに静まりかえり、横にいた男が慌てて「会長！」と叫んだ。
オ.ジュンギ…
突然、頭の中にユナを失った瞬間の回りの景色が流れ出した。
ユナを抱きしめ激しく泣き叫ぶ俺の横でこいつも叫んでいた。
JG「ヌナ、ヌナ！どうして、こんなことに！俺はただ、ヌナが欲しかっただけだったんだ！なんでヌナが…」
思い出した… 俺を撃とうとしてユナを殺したのは… こいつだった…
JG「ミン.ユンギさん、あなたがシウヒョンだというのはAgust Dの曲を聞いてすぐにわかりました。私は自分の犯した大きな過ちを償うつもりでヒョンと夢見ていた自由に歌える世界を作ろうとこの会社を起こしました。お会いして謝りたかった… でも、こちらから声をかける勇気がなくて… 本当に申し訳ありませんでした。」
大きな過ち… 今、俺だけがその事実を把握している。
他の誰もが大企業の会長である老人が俺をヒョンと呼び、頭を下げる光景を黙ってみていた。
「ここは…俺とユナの墓か？」
JG「遺骨はありませんが、そのつもりで、毎日拝んでいました。許してほしいなんて言えなくて、ただ、もう一度、ヒョンとヌナが逢えるようにと…」
「逢えたよ、ユナに。」
俺の言葉にジュンギはゆっくりと顔を上げた。
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作者名：はは | 作成日時：2023年8月14日 15時
