私 ページ13
いつもの寝不足に加えて風邪を引いたのか頭痛もひどい。
今日の仕事は無理だな…
SN 「Aが休みなら、今日は店じまいで掃除するわ。病院行くなら連れてこうか？」
「ごめんね。病院は近くだから大丈夫。」
SN「ん、無理すんな。病院から帰ったら寝とけよ。しんどかったらいつでも電話していいから。」
「うん。ありがと。」
動きたくない… でも、病院行かなきゃ…
重いからだを引きずるように出かける。
店の近くに家を借りたはいいけれど、都会の街中、ゴチャゴチャした景色は今の私にはつらくて裏通りを歩く。
目の前を可愛い猫が通りすぎ、少しだけ癒されたと思ったその時
“パーン”
どこかで破裂音がした。
胸の鼓動が早くなり、自分のものなのに体のコントロールがきかない。
やばい… 息ってどうやったら吐ける？
吸って、吸って…
もう、嫌だ、助けて…
？「大丈夫ですか？」
帽子を目深にかぶって顔もあまり見えない誰かが声をかけてくれた。
？「過呼吸かな、これ、口に当てて。ゆっくり息して。うん、上手。吸って、吐いて、吸って、吐いて、そう。」
袋を口に当て、息がしやすいように声をかけてくれる。
少しずつ楽になってきた。
？「過呼吸しんどいよな。俺もよくなってたから。」
背中をさすってくれる手の温度が温かくて、その声に安心した。
「ありがとうございました。もう大丈夫です。」
息が落ち着いてきてその人の顔を見ると目が合って…
涙が溢れてきた。
？「まだ苦しい？救急車呼んだ方がいいかな…」
「違うんです、そうじゃなくって…」
私にもわからない、説明のつかない感情。
初めて出会った、偶然出会った。
でも、初めてでも、偶然でも無いような気がする。
「あの… 助けてくださってありがとうございました。」
？「いや、大したことしてないし… これからどこに行くの？まだ、心配だし、嫌じゃなければついて行くよ。」
「でも、ご迷惑かけてしまった上に付き添ってもらうなんて…」
？「俺も気分転換したくて少し歩こうと思ってたし、ちょうどいいから。」
帽子とマスクで隠れた顔の目を見つめる。
目が離せない。
優しい瞳… 懐かしい瞳…
？「こんなかっこじゃ怪しい奴だよな。」
黙って見つめる私に勘違いしたように、マスクをはずすと彼は笑って言った。
YG 「俺はミン・ユンギ。会社がこの近くなんだ。一応真面目な社会人だから安心して。」
私はこの笑顔を知ってる。
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作者名：はは | 作成日時：2023年8月14日 15時
