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SN「だるそうだな、また眠れなかったのか?」

 「あー、まあね…」

私は幼なじみの友人、ソヌがオーナーのカフェ『クム』でバリスタをしている。

コーヒーも紅茶も好き、何よりもこのカフェの落ち着いた雰囲気が好きだ。

店内には静かなピアノ曲が流れ、お客さんもゆったりと過ごされていた。



私の眠りは浅く、短い。

典型的な不眠症。

理由ははっきりしている。

繰り返し見る夢のせいで眠るのが怖くなった。

初めてみたのは中学生の時、高熱で2日寝込んだ後。

最初は幸せな夢だった。

顔は見えないけど、男の人から花束をもらう、寝るのが楽しみになるほど幸せな夢。

手をつないで歩いたり、2人で食事もしていた。

しばらくすると、彼を見送り、泣いている夢を見た。

起きた時に本当に涙が出ていて驚いた。

そんな夢を繰り返し見ていたある日…

彼と2人で誰かに追われ、そして… 大きな音とともに体に痛みが走った。

夢なのに、本当に痛くて苦しくて… 息が出来なくなった。

息継ぎをするかのように目が覚めると同時に理解した。

私は死んだんだ…

それからは大きな音がすると過呼吸を起こすようになった。

様々な場面を夢で見て、わかったのは…

彼は私の恋人で、抑圧的な社会を変えようとしていたこと。

何かがあって私が殺された事…

繰り返される夢、繰り返される死、眠るのが怖くなり、慢性的な寝不足になった。

この夢は何なんだろう…

ソヌは私が不眠症なことも、大きな音が苦手なこともよく知っていて気遣ってくれる。

ありがたいし、信頼している。

けれど… 夢のことはまだ誰にも言えずにいた。




今日も寝不足の体を引きずるように仕事をこなす。

うちのカフェはコーヒーと紅茶を売りにしているからフードメニューは少ない。

それでもお昼は混み合う時間、客足が落ち着いたのを見て休憩を取る。

 「ちょっと出てくるね。」

SN「んー、いってらっしゃい。」

近くの定食屋さんに向かう途中、街に流れる歌に耳を奪われた。

思うようにいかない苦しさ、社会に負けそうな弱さと本当の自分を主張する強さを表した歌詞。

聴いているだけで胸が苦しくなって気がつけば涙が出ていた。

基本、クラッシックが好きな私は街に流れる音を聞いてこんな気持になったのは初めての事で、戸惑う。

通りを歩く人の視線に慌てて涙を拭いながらスマホで今聞いた歌詞を入力して検索した。

曲名、そしてアーティスト名。

見たこと無い名前…

  【Agust D】

YG→←作者より



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作者名:はは | 作成日時:2023年8月14日 15時

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