10 恐怖 ページ10
マウスのカチカチという固い音だけが響く。パソコンの画面には、世界の腕のいい医者たちの名前と、学歴や手術歴が書いてある。
『conseil・arme』という文字にカーソルを合わせ、クリックする。今日見たあの金髪頭と、俺達と少しだけ骨格が違う顔。あいつの苗字は「アルム」というらしい。
「あれ、おかしくねえか？ これ」
ふとつぶやいた。「助手」と書かれていなければならない場所には「医師」と書かれている。助手とは一言も書いていない。
「まさか……」
俺は新しいページを開き、目的のサイトに向かう。
『Enter Password』
黒い画面に浮かぶ、赤い文字。少し怖い感じのフォントが恐怖感を抱かせる。
ハッキングして得た情報の中に確かここのパスワードもあったはずだ。必死に記憶をひっくり返すように探すと、随分と前の記憶からそのパスワードは見つかった。
「rtomue」と入力し、ページを開く。スクロールし、コンセイユの名前を探す。
見つけたコンセイユの名前をクリックする。新しいページには、信じたくもない事実が書いてあった。
「幻覚の研究をしており、助手と名乗っているが実は医師である。来客の飲み物に薬を混ぜ、知らず知らずのうちに実験台にさせるという下衆な一面を持っている……だと？」
恐怖に頭が揺れる。頭にやばいの三文字だけが何度も浮かぶ。
パソコンのタブを閉じ、さらに電源を切って急いでリビングへダッシュする。
「おい！ やばいことが分かった！」
短距離で息が切れる訳がないのだが、今は恐怖によって息が切れている。そんな俺の真っ青な顔を見て何があったのかとヴェリタは冷静に尋ねる。
「俺達はもうすでにあいつの罠にかかったんだ」
椅子に座り、誰のものか分からないがコップに入っていた紅茶を飲みながら頭の中を必死に整理し、さっき調べたことをひとつずつ話した。
「なんだよ……じゃあ俺達はもうどうしようもできないって事か！？」
ロウーユが声を荒らげて騒ぐ。ベゼは冷静を保とうとしているが、体の震えは隠せていない。ただ一人ヴェリタだけが何かを考えている。
「オルディナ」
俺の肩を押さえ、まっすぐ目を見つめるヴェリタ。覚悟を決めたような声で「あいつのアジトを探してくれ」と頼む。
そのヴェリタの覚悟した目を見ると、自然と安心できた。俺は頷き、新しい紅茶を入れるためにキッチンへ向かった。
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エメラルド(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも頑張ります！ (2018年1月18日 16時) (
レス) id: ab0197407b (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - 参加してくださりありがとうございます。すごく面白いですね！ 細かい動作や表情が丁寧に書かれていて、素晴らしい作品ですね。アドバイスがないくらい面白かったです。活動頑張ってください。あなたの作品、大好きですw (2018年1月18日 11時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いさみ x他1人 | 作成日時：2018年1月9日 10時
