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2 初恋 ページ2

隣の部屋から二人の笑い声が聞こえる。
――ロウーユ……今日の分は終わらせたとか言ってたけど本当かしら。

 白い壁の向こう側をにらみながら私は目線を目の前のパソコンに戻す。デスクトップの彼は相変わらず笑わない。そんな顔が憎たらしくて私はパソコンの電源を切り、壊す勢いでパソコンを閉じた。

 キッチンへと向かい、ロウーユがほったらかしたコーヒーを自分のマグカップに注ぐ。まだコーヒーは温かく、私の手を温めてくれた。

 リビングのテレビをつけ、お気に入りのドラマを見る。結婚なんか考えたこともない冷たい女性が機械のような人間性のかけらもない男性に恋をする話だ。私はこの主人公に感情移入してしまい、つい自分と彼に例えて考えてしまう。

「はぁ……」
 偶然にもテレビの中のヒロインと溜息が重なった。もう話は後半らしく、人間らしさが出てきた男性、名前は「リーベ」というらしい。リーベが「どうした?」とヒロインの顔を覗き込んで問う。しかしヒロインはぷいっと顔をそらし、「別に」と答える。

 もしも彼が今私に「どうした?」と聞いてくれたらいいのに、と妄想する。

 私が彼に恋したのは一年前。いつも機械のように、ただ淡々と与えられた仕事を完ぺきにこなす機械のような人間だった彼。好きになるようなところが一つもないような人間だったのに周りの子はみんな
「彼いいわよね〜」
「ほんと! 可愛いしかっこいいわよね!」
「そうそう! なんか猫みたいよね!」
と口々に言うが私は彼の良さが何もわからなかった。

 ある日、お昼休みに弁当を食べているといつものグループの一人がとんでもないことを言った。
「そうだ! 彼、ベゼとお似合いじゃない?」
「そうよ! ちょっと嫉妬しちゃうけどお似合いよ!」
「お互いビジネスライクって感じだし、二人の恋愛見てみた〜い!」

 その時は「そんなことないでしょ」とぴしゃりといったが、午後から少しだけ彼に目が行ってしまうようになった。

 それから数日したある日、私はコーヒーを淹れるために給湯室でお湯が沸くのを待っていると、彼は紅茶を淹れにきたのか茶葉をもって給湯室に来た。彼は私を見つけても何も言わなかったけど、私はつい「あっ」と声をあげてしまった。

 少し狭い場所で彼と二人きりのこの空間で、意識してしまっているのは私だけ。そう思うと自分が馬鹿らしくなった。

3 初恋2→←1 報道


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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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エメラルド(プロフ) - 心の雨と虹の空さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2018年1月18日 16時) (レス) id: ab0197407b (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空(プロフ) - 参加してくださりありがとうございます。すごく面白いですね! 細かい動作や表情が丁寧に書かれていて、素晴らしい作品ですね。アドバイスがないくらい面白かったです。活動頑張ってください。あなたの作品、大好きですw (2018年1月18日 11時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いさみ x他1人 | 作成日時:2018年1月9日 10時

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